過重労働解消キャンペーンによる監督署調査 対象事業場の65.9%が法令違反

指導事例 先日より過重労働対策と同一労働同一賃金を二本柱とした働き方改革関連法案の審議が開始されましたが、これを見ても分かるとおり、過重労働対策は現在の労働環境において最大のテーマのひとつとなっています。このことから、厚生労働省は昨年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し、労働基準監督署による重点監督など進めましたが、先日、この実施結果が発表されました。今回行われた重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施されたものになります。

 その結果を見てみると、対象となった 7,635事業場のうち5,029事業場(全体の65.9%)において労働基準関係法令違反があり、主な違反内容は以下のとおりとなっています。
違法な時間外労働があったもの: 2,848事業場(37.3%)
賃金不払残業があったもの:536事業場(7.0%)
過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:778事業場(10.2%)

 次に、監督指導を実施した事業場のうち、健康障害防止防止のため指導票を交付した事業場のなかで、労働時間の把握が不適正なため指導した事業場が1,232事業場となっています。これは、労働時間適正把握ガイドライン(以下、ガイドラインという)に基づいて行われており、指導事項の詳細をみてみると以下のようになっています。
始業・終業時刻の確認・記録(ガイドライン4(1))  678事業場
自己申告制による場合
 自己申告制の説明(ガイドライン4(3)ア・イ)      89事業場
 実態調査の実施(ガイドライン4(3)ウ・エ)          566事業場
 適正な申告の阻害要因の排除(ガイドライン4(3)オ)  52事業場
管理者の責務(ガイドライン4(6))                   12事業場
労使協議組織の活用(ガイドライン4(7))              1事業場
※指導事項は、複数の場合、それぞれに計上。

 この中で、実態調査の実施(ガイドライン4(3)ウ・エ) については、自己申告制により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているのか、必要に応じて実態調査を行うことや、自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合は、その報告が適正に行われているかを確認することになっています。

 今回の過重労働解消キャンペーンに限らず、監督署の調査においてもこのガイドラインに基づいた指導が行われています。そのため、改めてガイドラインの内容に目を通し、取扱いに問題があれば早めに改善を行いましょう。またその際には今回の資料の最後についている監督指導事例も参考になります。


参考リンク
厚生労働省「平成29年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000204309.html

(福間みゆき)

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