対前年比66.0%増と無期雇用化が進む派遣労働者

1 労働者派遣については3年前の法改正の影響に対する対策が求められていますが、厚生労働省は、平成29年6月1日現在の派遣労働者数を発表しました。これは、労働者派遣法において定められた、毎年6月1日現在の運営状況の報告書である「労働者派遣事業報告書」の集計結果をまとめたものですが、平成29年6月1日現在の派遣労働者数は、次のとおりとなっています。
【平成29年6月1日現在の派遣労働者数】
派遣労働者数・・・・・・・・・・・・約156万人(対前年比:19.4%増)
(1)労働者派遣事業         1,355,598人(対前年比:27.8%増)
  a 無期雇用派遣労働者       235,293人(対前年比:66.0%増)
   b 有期雇用派遣労働者       1,120,305人(対前年比:21.9%増)
(2)(旧)特定労働者派遣事業      205,064人(対前年比:16.7%減)
  c 無期雇用派遣労働者        162,235人(対前年比:18.2%減)
  d  有期雇用派遣労働者        42,829人(対前年比:10.5%減)
製造業務に従事した派遣労働者数 ・・・約29万人(対前年比:32.6%増)
(1)無期雇用派遣労働者               57,861人(対前年比:40.4%増)
(2)有期雇用派遣労働者              230,209人(対前年比:30.8%増)

 平成27年9月30日に施行された労働者派遣法の改正により、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別は廃止され、すべての労働者派遣事業は許可制となりました。現在は、この改正の経過措置期間中にあり、平成30年9月29日までであれば、新たに許可を得ることなく、引き続き、(旧)特定労働者派遣事業を営むことが可能とされています。

 そのため、(旧)特定労働者派遣事業において就業する派遣労働者は、平成30年9年30日以降は、一部例外を除き、存在しなくなるため、当然減少傾向となっています。しかしながら、裏を返せば、平成29年6月1日時点では、まだ約20万人が(旧)特定労働者派遣事業において就業しているということです。まだ許可を受けていない(旧)特定労働者派遣事業の事業者が適正に労働者派遣事業の許可を受けることができるのか、それとも廃業をしていくのか、今後の動向が気になるところです。 

 もう一点注目したのは、無期雇用派遣労働者が対前年比で66.0%増と大幅に増加していることです。この背景には、(旧)特定労働者派遣事業から労働者派遣事業への切り替えによる増加の影響もあるのでしょうが、それだけではなく、無期雇用者は改正法による新しい期間制限ルールの影響を受けないこと、人材不足の深刻化により優秀な人材の囲い込みがされていることなどがあるのではないかと推測されます。


参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業の平成29年6月1日現在の状況」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199502.html

(佐藤和之)

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