7月に民間委託によりスタートする36協定未届事業場に対する相談指導事業の内容

36 働き方改革の中で、36協定の重要性が高まっています。しかし、現実には労務管理の基本中の基本である36協定の締結・届出さえもできていない企業が少なからずあるというのが実情です。しかし、その指導を徹底するだけの十分な体制が労働基準監督署にないというのが実態であり、それを改善するため、今年度は36協定未届事業場に対する相談指導事業が民間に委託されることとなりました。現在、各労働局でその入札公告が行われていますので、本日はその資料から今回の事業の内容について見ていくこととしましょう。

 今回の事業は、労働局労働基準部監督課が作成する事業場リストの事業場に対して、以下の事項が行われます。
労働条件自主点検表及び自主点検結果報告書の送付と自主点検結果報告書の回収
 返信期限を過ぎ、1週間以上経過してもなお回収されていない事業場については、電話および書面による督促が行われる。
回収した自主点検結果報告書の分析
 回収した自主点検結果報告書は、項目ごとにエクセルにより事業場ごとに集計・データ化し、労働基準法等の適合有無について分析が行われる。また、返送のない事業場等もデータ化して管理される。同時に集計されたデータのうち、労働局が指定する項目について労働基準法等に適合するか否かの分析を行うとともに、労働基準法等に適合しないと認められる事業場のリストが作成される。
集団的または個別的な相談指導の必要な事業場の選別と相談指導の実施
 自主点検結果報告書において相談指導を希望する事業場、自主点検結果報告書の提出がなかった事業場及びにより分析された結果、労働基準法等に適合しない事業場について、集団的な相談指導が実施される。この集団的な相談指導に参加しなかった事業場については、電話等で連絡をとり同意が得られた場合には、個別訪問による相談指導が実施される。
愛知局監督課への相談指導実施状況等の報告
愛知局監督課への事業終了の報告

 この事業で行われる指導はあくまでも事業主の同意が前提となりますが、その参加の優先順位は自主点検結果報告書の提出のない事業場、労働基準法等に適合しないと認められる事業場が優先されるということです。今回の事業が、労働基準監督署の不足するリソースを民間委託で穴埋めし、効果的な36協定の指導を行うことが目的であることを考えれば、自主点検結果報告書が提出されない場合には、監督署による監督指導が優先的に行われる可能性が高いと思われます。

 改めて、36協定の締結届出を徹底するとともに、労働時間の最適化を進めましょう。


参考リンク
愛知労働局「【6/11開札】平成30年度36協定未届事業場に対する相談指導事業」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/choutatsu_uriharai/nyusatsu/_121633/20180316_00004.html
東京労働局「入札情報 平成30年度 36協定未届事業場に対する相談指導事業」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/choutatsu_uriharai/nyusatsu/2017/kouji30_41_1_00001.html

(大津章敬)

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