閣議決定された骨太の方針2018で明記された継続雇用年齢の引き上げ
先日(2018年6月15日)に開催された臨時閣議において経済財政運営と改革の基本方針2018(いわゆる「骨太の方針」)が閣議決定されました。この中で人事労務関係としては「高齢者雇用の促進」の部分が非常に注目されますので、以下、引用しましょう。
(65歳以上の継続雇用年齢の引上げに向けた環境整備)
意欲ある高齢者に働く場を準備することは、働きたいと考える高齢者の希望をかなえるためにも、人口減少の中で潜在成長力を引き上げるためにも、官民挙げて取り組まなければならない国家的課題である。実際、高齢者の身体年齢は若くなっており知的能力も高く、65歳以上を一律に「高齢者」と見るのは、もはや現実的ではない。年齢による画一的な考え方を見直し、全ての世代の人々が希望に応じて意欲・能力を活かして活躍できるエイジフリー社会を目指す。
こうした認識に基づき、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けて環境整備を進める。その際、高齢者は健康面や意欲、能力などの面で個人差が存在するという高齢者雇用の多様性を踏まえ、一律の処遇でなく、成果を重視する評価・報酬体系を構築する。このため、高齢者に係る賃金制度や能力評価制度の構築に取り組む企業に対し、その整備費用を補助する。
(高齢者の雇用促進策)
一人でも中高年の中途採用経験がある企業は、二人目以降の採用にも積極的になる傾向があるため、高齢者のトライアル雇用を促進する方策を進める。中高年を対象に基礎的なIT・データスキル習得のための教育訓練を拡充することにより、中高年の新たな活躍を支援する。また、地域医療介護総合確保基金を活用した入門的研修、マッチングにより、国・地方自治体・関係団体が一体となって、高齢者の介護分野への参入を促進する。
(公務員の定年の引上げ)
平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえ、複雑高度化する行政課題に的確に対応する観点から、公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討する。その際、人事評価に基づく能力・実績主義の人事管理の徹底等について、併せて検討を行う。
このように65歳以上への継続雇用年齢の引き上げと、高齢者層に対する成果を重視した評価・報酬体系の構築が方針として明示されました。先日の長澤運輸事件最高裁判決の影響も今後出てくることが予想され、企業としては対応が急務となってきそうです。
参考リンク
経済財政諮問会議
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/
首相官邸「平成30年6月15日 経済財政諮問会議・未来投資会議合同会議」
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201806/15goudoukaigi.html
首相官邸「臨時閣議の概要について」
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201806/15_p.html
(大津章敬)
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