人事院 公務員の65歳定年の導入と60歳以降の給与水準を7割程度とする方針を申出
国家公務員の65歳定年への引き上げの方針は、経済財政運営と改革の基本方針2018(いわゆる骨太の方針)の中で「平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえ、複雑高度化する行政課題に的確に対応する観点から、公務員の定年を段階的に65 歳に引き上げる方向で検討する」と明示されていました。この流れの中、2018年8月10日に人事院総裁は内閣総理大臣および衆参両議院議長に対し、「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を行いました。
そのポイントは以下のようになっています。
定年制度の見直し
・一定の準備期間を確保しつつ定年を段階的に65歳に引き上げる。
役職定年制の導入
・新陳代謝を確保し組織活力を維持するため、当分の間、60歳の役職定年制を導入する。
・管理監督職員は、60歳に達した日後における最初の4月1日までに他の官職に降任又は転任(任用換)
・任用換により公務の運営に著しい支障が生ずる場合には、例外的に、引き続き役職定年対象官職に留まることまたは他の役職定年対象官職に任用することを可能とする制度を設定する。
定年前の再任用短時間勤務制の導入
・60歳以降の職員の多様な働き方を可能とするため、希望に基づき短時間勤務を可能とする制度を導入する。
60歳を超える職員の給与
・民間の状況を踏まえ、60歳を超える職員の年間給与について、60歳前の7割水準に設定する。なお、役職定年により任用換された職員の年間給与は任用換前の5割から6割程度となる場合がある。
・具体的には、60歳を超える職員の俸給月額は60歳前の70%の額とし、俸給月額の水準と関係する諸手当等は60歳前の7割を基本に手当額等を設定(扶養手当等の手当額は60歳前と同額)する。
・60歳を超える職員の給与の引下げは、当分の間の措置とし、民間給与の動向等も踏まえ、60歳前の給与カーブも含めてその在り方を引き続き検討する。
能力・実績に基づく人事管理の徹底等
・職員の在職期間を通じて能力・実績に基づく人事管理を徹底するなど人事管理全体を見直す必要がある。また人事評価に基づく昇進管理の厳格化等を進める必要もある。
・勤務実績が良くない職員等には降任や免職等の分限処分が適時厳正に行われるよう、人事評価の適正な運用の徹底が必要である。
こうした動きは今後、民間企業の高齢者雇用にも大きな影響を与えることになるでしょう。中でも賃金水準を60歳前の7割とするという点は長澤運輸事件最高裁判決により注目を浴びる分野だけに大きな影響が出てくることが予想されます。
参考リンク
人事院総裁「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出(2018年8月10日))」
http://www.jinji.go.jp/iken/30mousidehonbun.pdf
人事院「人事院の意見の申出」
http://www.jinji.go.jp/iken/moushide.html
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2018」
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/decision0615.html
(大津章敬)
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