社会保険に遡及加入したときに発生する国民健康保険料の二重払い解消へ

kokuho 社会保険に加入すべき要件を満たした従業員が、何らかの理由で社会保険に加入していない状況が生まれ、年金事務所等の調査が行われたときは、最大直近2年間について遡及加入することがあります。

 遡及加入した期間については、当然、健康保険料・厚生年金保険料の納付が必要になり、遡及対象に加入していた健康保険制度および年金制度からは遡及で納付した保険料が還付されることになっています。この遡及期間において、国民健康保険に加入していた場合は、現在の国民健康保険料の納付が、各年度の最初の保険料の納期(通常6月末頃)の翌日から起算して2年を経過した日以後は賦課決定できないことになっており、遡及するタイミングで、追加で健康保険料は2年分納付したにも関わらず、国民健康保険料は2年分の還付が受けられない事態が生じていました(具体的事例は左図を参照)。

 これについて総務省に行政相談が行われ、以下のとおり総務相から厚生労働省にあっせんが行われています。

(行政相談の要旨)
 厚生年金保険及び健康保険の加入(平成29年8月)に伴い、平成27年10月から29年7月までの健康保険料を遡って年金事務所に支払った。同事務所から、同期間の国民健康保険料は申請すれば還付されると説明を受けたので区役所に申請したところ、還付できるのは2年度分(平成28年度及び29年度)であり27年度分は還付できないという。健康保険料の徴収は加入月から行うのに、国民健康保険料の還付は年度単位となっているようであるが、保険料の二重払いはおかしいので、解消してほしい。

(厚生労働省へのあっせん要旨)
・国民健康保険から健康保険に遡及して加入した被保険者について、国民健康保険料の還付を受けられない期間が生じないよう、関係法令の改正について早急に検討を行うこと。
現に国民健康保険料の還付を受けられない期間が生じている被保険者に対する必要な措置を検討し、関係機関に対し周知すること。

 まずは、社会保険への適正な加入が求められますが、万が一、遡及で加入するケースが発生したときには、会社は従業員のこのような健康保険料・国民年金保険料の還付手続きにもアドバイスが必要になるのでしょう。

↓健康保険料と国民健康保険料の二重払いの解消(概要)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000564661.pdf
↓健康保険料と国民健康保険料の二重払いの解消(あっせん)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000564662.pdf


参考リンク
総務省「行政苦情救済推進会議の検討結果を踏まえた本省のあっせん事例」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/soudan_n/soudan_a.htm

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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