労政審分科会で示された高度プロフェッショナル制度の導入フローと対象業務の素案

高プロ 先日開催された厚生労働省「第148回労働政策審議会労働条件分科会」で、高度プロフェッショナル制度に関する様々な情報が出てきました。画像は「高度プロフェッショナル制度」の導入フローですが、なんといっても注目は対象業務の素案でしょう。

 今回、高度プロフェッショナル制度は、5つの職務について導入がなされますが、より具体的に対象になり得ると考えられる業務と対象にならないと考えられる業務の例が示されました。まだ素案ではありますが、この方向で議論が進んでいくこととなりそうです。
金融商品の開発業務
<対象になり得ると考えられる業務>
・金融取引のリスクを減らしてより効率的に利益を得るため、金融工学のほか、統計学、数学、経済学等の知識をもって確率モデル等の作成、更新を行い、これによるシミュレーションの実施、その結果の検証等の技法を駆使した新たな金融商品の開発の業務
<対象にならないと考えられる業務>
・金融サービスの企画立案又は構築の業務
・金融商品の売買の業務、資産運用の業務
・市場動向分析の業務
・保険商品又は共済の開発に際してアクチュアリーが通常行う業務
・商品名の変更のみをもって行う金融商品の開発の業務
・専らデータの入力・整理を行う業務
金融商品のディーリング業務
<対象になり得ると考えられる業務>
・投資判断に基づく資産運用(指図を含む。)の業務(資産運用会社等におけるファンドマネージャーの業務)
・投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務(資産運用会社等におけるトレーダーの業務)
・証券会社等におけるディーラーの業務(自社の資金で株式や債券などを売買する業務)
<対象にならないと考えられる業務>
・有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断を伴わない顧客からの注文の取次の業務
・ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラーの業務の補助の業務
・金融機関の窓口業務
アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
<対象になり得ると考えられる業務>
・有価証券等に関する高度の専門知識と分析技術を応用して分析し、当該分析の結果を踏まえて評価を行い、これら自らの分析又は評価結果に基づいて運用担当者等に対し有価証券の投資に関する助言を行う業務
<対象にならないと考えられる業務>
・ポートフォリオを構築又は管理する業務
・一定の時間を設定して行う相談業務
・専ら分析のためのデータ入力・整理を行う業務
コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
<対象になり得ると考えられる業務>
・企業に対して事業・業務の再編、人事等社内制度の改革など経営戦略に直結する業務改革案などを提案し、その実現に向けてアドバイスや支援をしていく業務
<対象にならないと考えられる業務>
・調査、分析のみを行う業務
・調査、分析を行わず、助言のみを行う業務
・専ら時間配分を顧客の都合に合わせざるを得ない相談業務
・個人顧客を対象とする助言の業務
研究開発業務
<対象になり得ると考えられる業務>
・ 新たな技術の開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの開発等の業務
<対象にならないと考えられる業務>
・作業工程、作業手順等の日々のスケジュールが使用者からの指示により定められ、そのスケジュールに従わなければならない業務
・既存の商品やサービスにとどまり、技術的改善を伴わない業務

 年収要件の厳しさもあり、導入事例はあまり多くないと予想されますが、更なる情報が待たれるところです。


参考リンク
厚生労働省「第148回労働政策審議会労働条件分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580_00008.html

(大津章敬)

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