新たに公開された職業安定法改正Q&Aに見る採用時の労働条件明示のポイント

採用 職業安定法や省令等の改正が今年4月より施行されていますが、これにより労働者の募集や求人申込みの制度が変わりました。この改正に関するQ&Aが厚生労働省のサイトに掲示されており、これを見ることで、実務の取扱いがどのように変わったのか、どのような点に注意が必要なのかイメージがしやすくなっています。

 このQ&Aは全部で13個あり、ここでは内定時の労働条件の明示、従業員募集にあたっての労働条件等の明示に関するものをとり上げます。
[問1-1]
 指針第3の3(6)において、新規学校卒業見込者等に対しては原則として、賃金を支払う旨を約し、又は通知するまで(内定まで)に、職業安定法に基づく労働条件の明示を行われるべきとされている。例えば、配属先が決定しておらず就労の開始時の就業場所が確定していない場合など、内定の時点で労働条件が確定していない場合については、どのように対応すべきか。
○採用内定によって労働契約が成立する場合には、職業安定法に基づく労働条件明示も内定までに行われていることが必要です。
○ただし、採用内定の際に、具体的な就業場所や従事すべき業務等を特定できない場合には、就労の開始時の就業の場所や従事すべき業務として想定される内容を包括的に示すこととしても差し支えありません。
○採用内定により労働契約が成立した後の労働条件明示の取扱は、労働基準法第15条に委ねられることになりますが、具体的に特定できなかった事項については、就労の開始前のできる限り早期に決定するよう努め、決定次第改めて明示すること、また採用内定の際に、改めて明示する時期について明示すること等を書面により行うことが望ましいと考えられます。

[問1-2]
 法第5条の3第1項で義務付けられている労働条件明示は、いつまでに行わなければならないのか。
○労働条件明示は、求職者等と最初に接触する時点までに、労働条件に関する全ての事項を明示することが原則です【指針第3の1(4)イ】。
○例えば、ホームページへの募集要項の掲載や求人広告の掲載等を行う際は、労働条件に関する全ての事項を明示すべきものですが、紙幅に制限がある等のやむを得ない事情がある場合は、求人票に別途明示する旨を明記の上、労働条件の一部を別途明示することも可能です【指針第3の1(4)ロ】。ただし、その場合も上記の原則に基づき、求職者等と最初に接触する時点までには、別途明示することとした労働条件の明示を行うことが必要です。
○なお、上記の明示を行うに当たって、労働条件の一部が確定していない場合であっても、未確定の部分について明示を行わないのではなく、一定の幅を持った明示を行うことが適切です。その場合、できる限り早期に労働条件を確定させ、法第5条の3第3項に基づき、労働条件を特定した旨の明示を行う必要があります。

 上記の問1-2については、他にも関連するQ&Aがあることから併せて確認したいものです。これから従業員募集を行う際は、Q&Aの内容に目を通しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「職業安定法改正 Q&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000377480.pdf

(福間みゆき)

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