今後、新設や細目の細分化が見込まれる労災保険の業種区分
労災保険は、企業の業種における労災事故の発生率が異なることから、業種を区分し、各業種ごとに労災保険率を決定しています。現行は54業種に分かれていますが、「94その他の各種事業」では、全体の3割以上を占める大きな保険集団も存在することとなり、業種区分を分けている目的の一つでもある業種ごとの労働災害防止の取組み、その結果としての保険料率引下げというインセンティブ機能の低下が見られることから、厚生労働省では業種区分に係る検討会を開催し、見直しを進めてきました。
その結果として2019年4月5日、労災保険の業種区分に係る検討会の報告書が公開されました。検討会では、「94その他の各種事業」のうち、集団としての規模の大きなものや災害率に特徴のみられるものに該当する、以下の7つの細目が検討対象として選定されています。
【7つの細目】
9425教育業、9431医療業
9432社会福祉又は介護事業、9433幼稚園
9434保育所、9435認定こども園、9436情報サービス業
これらの7つの細目では、細目の細分化、業種新設も考えられるとしているものがあるため、注目をしていく必要があります。
なお、「94その他の各種事業」以外の業種では、平成17年の「労災保険率の設定に関する基本方針」および平成25年の「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」で示された一定の考え方に基づき、業種区分の分離または統合の要否を検討されています。
今後は、この報告書の内容が労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会に報告され、更になる具体的な検討が進むことになるようです。
参考リンク
厚生労働省「「労災保険の業種区分に係る検討会」の報告書を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/567448000.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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