全日本トラック協会 トラック運送事業にかかる職種別賃金統計を7年振りに公表
人事労務管理に関する相談顧問やコンサルティングを行う中で、クライアントから〇〇業界の賃金水準の資料はないかという問い合わせをよく受けます。賃金統計については厚生労働省や国税庁、そして民間の調査機関など多くの調査が行われていますが、製造業・非製造業といった括りのものがほとんどで、具体的な職種別のデータというのはあまり存在しないのが実態です。
そんな中、公益社団法人全日本トラック協会は先日、「2018年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態について」という調査結果を公表しました。これは平成23年以来7年ぶりに実施された調査で、トラック運送事業に携わる従業員の賃金や労働時間、福利厚生等の実態を職種別に把握しているものです。
これによれば、平成30年5~7月に支給された全職種1人1ヵ月平均賃金は特積が328,400円、一般が328,900 円、これに年間支給賞与の1ヵ月平均額を加えた月額は、特積が373,700円、一般が369,200 円となっています。7年前の平成23年調査時点と比較すると、特積は1人1ヵ月平均賃金で13,700円、率にすると4.4%の上昇になっています。年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額でも平成23年当時より19,700円、5.6%増加していいます。一般も 平成23年当時と比較して、1人1ヵ月平均賃金が18,600円、6.0%上回り、年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額も21,300 円、6.9%上回っています。
トラック運送事業従業員の中核をなす運転者のうち、男性運転者(けん引、大型、中型、準中型、普通)の賃金を見ると、特積では1人1ヵ月平均賃金が342,200 円(同5.5%増)、年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額が386,600 円(同8.0%増)となり、平成23年当時に比べ金額でそれぞれ17,800円、28,600円増加しています。一般では1人1ヵ月平均賃金が338,500円(同6.2%増)、年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額が369,700円(同5.8%増)となり、同じく金額でそれぞれ19,700円、20,200円増加しています。特積と一般を合わせた男性運転者全体では、1人1ヵ月平均賃金が339,500円、年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額が374,500円となってます。平成23年調査時点と比べ、1人1ヵ月平均賃金は金額で18,900 円、率で5.9%、年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額は金額で22,100円、率で6.3%それぞれ増加しています。
このように全体的に上昇基調にある賃金水準ですが、現在、深刻な人材不足に陥っている職種だけにこうした資料も活用し、適切な賃金水準の確保を進めたいものです。
参考リンク
公益社団法人全日本トラック協会「2018年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態について」
http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/chingin/chingin2018.html
(大津章敬)
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