4月よりいよいよメタボ健康診断がスタートしますよ

 今日は3月31日。明日は服部印刷にも新入社員が入社してきます。宮田部長をはじめ、従業員みんなでこの日を楽しみにしており、辞令の作成やネームプレートなどの準備をしているところに、大熊社労士が訪問してきました。



大熊社労士:
 こんにちは
宮田部長:
 あぁ、大熊先生、こんにちは。
大熊社労士:
 いよいよ年度末も最終日ですが、お仕事の方はいかがですか?
宮田部長:
 はい、ありがとうございます。ようやく繁忙期もピークを過ぎて、ホッとしているところです。今日も営業社員は印刷物の納品で一日中駆けずり回っていますが、なんとか乗り切った感じです。
大熊社労士:
 そうですか、今年は体調を崩す社員も出なかったようで良かったですね。
宮田部長宮田部長:
 確かに倒れる者がいるというようなことはありませんでしたが、健康に不安を抱えている者は少なくありませんよ。当社も社員の平均年齢が上がっていますから、中高年の従業員を中心に体調を崩しがちな者がが多くなってきました。そこで総務としては従業員に対して、どのような配慮が必要なのかを押えておかないといけないと思っています。
大熊社労士:
 そうですね、分かりました。社員の健康管理について簡単にご説明しましょう。そもそも会社には社員を安全かつ健康に働かせなければならないという安全配慮義務を負っているのですが、その中でも健康管理は大きな比重を占めています。これに関連し、4月1日から健康診断について若干法律が変わりますので、説明しておきます。
宮田部長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 はい、まず健康診断については、大きく分けて一般健康診断と特殊変更診断があります。順番に挙げると、以下のようになりますね。
一般健康診断
□雇い入れ時の健康診断
□定期健康診断
□特殊業務従事者の健康診断
□海外派遣者、結核、給食従業員に対する健康診断
特殊変更診断
□法令で実施が義務づけられている診断
□通達で示されている診断
宮田部長:
 意外とたくさんの健康診断がありますね。ちなみに明日入社する新入社員については、既に健康診断書を提出してもらっています。確か入社する3ヶ月前に健康診断を受けていれば、要件を満たしていましたね?また、パートについても正社員の所定労働時間が4分3以上のときは、健康診断を受けさせています。
大熊社労士大熊社労士:
 それであれば問題ありません。さて、4月1日の改正ですが健康診断の項目が以下のように追加・変更されることになっていますので、注意をお願いします。
腹囲の検査を追加
血中脂質検査のうち、血清総コレステロールを低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールに変更

宮田部長:
 最近よく新聞や雑誌で見るメタボ対策ですね。
大熊社労士:
 えぇ、それですね。これは、雇入れ時の健康診断だけでなく、一般健康診断で挙げた定期健康診断や特定業務従事者の健康診断なども対象となります。ちなみにこの項目については定期健康診断や特定業務従事者の健康診断において省略できる基準が以下のとおり、策定・変更されています。
腹囲の検査の省略基準を策定
 以下の者は、医師の判断により省略可
・40歳未満(35歳を除く)の者
・妊娠中の女性その他の者であって、その胸囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの
・BMIが20未満である者
・BMIが22未満であって、自ら胸囲を測定し、その値を申告した者
尿糖の検査の省略基準を削除し、必須化
宮田部長:
 時代の流れとして、社員の健康に気遣っていくことの重要性が高まっていますね。明日入社してくる者についても、この改正に対応していなければならないのでしょうか。
大熊社労士:
 4月1日入社であっても、健康診断を受診した日が4月1日前であれば改正前の法令が適用されますので、改正前のもので問題ありませんよ。
宮田部長:
 そうですか、一安心です。
大熊社労士:
 先ほど中高年の従業員について心配されていましたが、この年齢層の従業員に対するものとして、労働安全衛生法の第62条に「中高年齢者についての配慮」という規定があります。
福島照美福島さん:
 そのような規定があるのですか!ということは、従業員にどのような仕事をさせるのか、年齢も考慮に入れながらしていかないといけませんね。
大熊社労士:
 もちろん中高年だけに限らず、すべての従業員において健康に配慮した配置であったり業務管理をしておくことが必要で、健康相談に対応するなどきめ細かい対応が求められています。
宮田部長:
 社員が入ってくるタイミングでもありますので、配置や各人の業務負担についても見直してみます。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は最近重要性が増している健康診断を取り上げてみました。以下では海外勤務者の健康診断について、補足しておきましょう。6ヶ月以上海外勤務させる場合には、勤務の前と帰国後に健康診断を行う必要があります。まず、事前の健康診断項目としては、次の2つとなっています。
定期健康診断項目
厚生労働大臣が定める項目(平成元年6月30日厚生労働省告示第47号)
ア.腹部画像検査
イ.血液中の尿酸の量の検査
ウ.B型肝炎ウイルス抗体検査
エ.ABO式およびRh式の血液型検査
 ただし、の定期健康診断項目については、雇入れ時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、特殊健康診断を受けた日から6ヶ月間に限り、同じ項目に相当するものは省略できることになっています。また、この定期健康診断項目については、以下の基準に基づき医師の判断で省略とすることができます。
・身長の検査…20歳以上の者
・喀痰検査…胸部エックス線検査によって病変の発見されない者および同検査によって結核発病のおそれがないと診断された者


 そして、帰国後の健康診断項目については、次のとおりとなっています。
定期健康診断項目
厚生労働大臣が定める項目(平成元年6月30日厚生労働省告示第47号)
ア.腹部画像検査
イ.血液中の尿酸の量の検査
ウ.B型肝炎ウイルス抗体検査
エ.糞便塗抹検査
 また、この定期健康診断項目については、先の事前の健康診断と同様に身長、喀痰検査について医師の判断で省略できることになっています。


 海外勤務については、言葉や習慣、生活環境が大きく変わりますので、健康への影響も大きくなります。そのため、会社が安全配慮義務を尽くすという観点からも、6ヶ月未満であっても健康診断を実施するといった対応が望まれます。


[関連法規]
労働安全衛生法 第66条(健康診断)
  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
4  都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。
5  労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。


労働安全衛生法 第62条(中高年齢者についての配慮)
 事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。


労働安全衛生規則 第45条の2(海外派遣労働者の健康診断)
  事業者は、労働者を本邦外の地域に六月以上派遣をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
2  事業者は、本邦外の地域に六月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
3  第一項の健康診断は、第四十三条、第四十四条、前条又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(第四十三条第一項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から六月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4  第四十四条第三項の規定は、第一項及び第二項の健康診断について準用する。この場合において、同条第三項中「、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号まで」とあるのは、「及び第四号」と読み替えるものとする。



関連blog記事
2007年2月28日「健康診断を受診しない社員を放置するのは会社のリスクです!」
https://roumu.com/archives/2007-02.html#20070228
2008年02月13日「平成20年4月施行 改正安衛法における定期健康診断等の項目改正」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51249372.html
2007年10月12日「健康診断を受診させる必要のあるパートタイマーの条件」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51109855.html


参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の項目の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/080123-3.html


(福間みゆき)


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