高校生のアルバイトを雇用する際の注意点を教えて下さい

 服部印刷でアルバイトの募集を行っていたところ、高校生からの応募があった。服部社長が面接したところ、その高校生を気に入り、来週からアルバイトに来てもらうことになった。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。来週から高校生をアルバイトとして雇うことになりました。
大熊社労士:
 高校生ですか。
宮田部長宮田部長:
 はい、これまで高校生を雇ったことはありませんでしたが、社長がその高校生を気に入りまして、週2日の短時間ですが、来週から来てもらうことになりました。初めて高校生を雇うのですが、何か注意しなければならない点などありますか?
大熊社労士:
 そうですね。ポイントとしては、年齢確認、証明書の備え付け、時間外・休日労働の禁止の3点がありますので、詳しくみていきましょう。まず、労働基準法では、20歳未満の者を次のように定義しています。
 満20歳未満・・・未成年者
 満18歳未満・・・年少者
 満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者・・・児童
福島照美福島さん:
 高校生ということは、「年少者」に該当しますね。確か労働契約は、未成年者であっても本人と締結することになっていたと思いますが。
大熊社労士:
 そのとおりです。本人と契約を結ばなければならないですね。高校生の親との間でアルバイトをすることの契約を結んでも、その契約は成立しません。但し、未成年者と労働契約を結ぶときには、親権者または後見人の同意が必要となっています。
福島さん:
 なるほど、分かりました。注意します。
宮田部長:
 今回は高校生のため18歳未満であることが分かって雇ったのですが、例えば本人が何らかの理由で年齢を詐称し、20歳以上であるとと信じて雇った場合、問題あるのでしょうか?
大熊社労士:
 年齢の確認については、会社に確認義務が課されており、18歳未満の者を雇った場合は年齢を証明できるものを事業場に備え付けることになっています。具体的には、氏名と生年月日を確認できる「住民票記載事項証明書」が必要で、備え付けなかったときについては罰則が設けられています。ご質問のように20歳以上と信じて雇ってしまったときですが、18歳未満であるか否か疑わしい者について単純にその者を信じて年齢証明書を備え付けなかった場合は、労働基準法第57条違反の責を免れることができないとされています。
福島さん:
 少しでも疑問を感じたら、確認する必要がありますね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。今回のアルバイトについては短時間勤務ということでしたが、例えば夏休みの期間などで、終日来てもらうことがあるかも知れませんので、労働時間の注意点についても簡単にお話しておきましょう。18歳未満の者を働かせる場合は、法定労働時間を守る必要があります。そして36協定を締結したとしても、時間外労働・休日労働をさせることはできませんので注意して下さい。
宮田部長:
 忙しいからといって、法定労働時間を超えて働いてもらってはダメということですね。現場の管理者に伝えておきます。
大熊社労士:
 御社では変形労働時間制を採用されていますが、この変形労働時間制についても適用させることはできないので、注意が必要ですね。ただし、例外がありまして、満15歳以上で満18歳に満たない者については、次のいずれかに当てはまる場合は働かせることができます。
1週間の労働時間が40時間以内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮すれば他の日の労働日を10時間まで延長することができる。
1週間について48時間以内、1日について8時間以内であれば、1ヶ月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用できる。
宮田部長:
 高校生を雇ったときには、いろいろ注意しなければならないことがありますね。しっかり私の方で労務管理を行います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は年少者の労働契約について取り上げましたが、年少者については深夜(午後10時から午前5時)に働かせることは、原則として禁止されています。ただし、次のいずれかの場合は働かせることができます。
交替制で働く満16歳以上の男性
交替制勤務の場合
 労働基準監督署長の許可を受けて、午後10時30分までと午前5時30分からの働かせることができるようになっています。なお、この場合において、午後10時~午後10時30分までの30分間については、労働基準法第37条の規定により深夜割増賃金の支払義務があるという点に注意が必要です(昭和23年2月20日 基発第297号)。
農林水産業、保健衛生業、電話交換業務
非常災害時の時間外、休日労働



関連blog記事
2007年1月27日「交代制による深夜業延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/51943770.html
2007年8月27日「年少者に係る深夜業時間延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54788527.html


参考リンク
神奈川労働局「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/kokosei.htm


(福間みゆき)


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