傷病手当金の支給要件について教えて下さい
服部印刷では、先週の日曜日に従業員がプライベートでサッカーをしていたところ、腕を骨折してしまい、2ヶ月間会社を休むことになった。そこで、宮田部長は傷病手当金の手続きについて、大熊社労士に相談することにした。
宮田部長:
大熊先生、こんにちは。実は今日は社員のケガの対応について相談させて頂きたいと思っていまして…。
大熊社労士:
どなたか、ケガをされたのですか?

はい、先週の土曜日に製造部の従業員が、プライベートでサッカーをしていたところ、腕を骨折してしまったのです。それで2ヶ月間は仕事ができないものですから、その間は休職にしようと思っているのです。よって休職中については、健康保険から傷病手当金を受給してもらおうと考えているのですが、具体的にはいつから受けることができるのでしょうか?
大熊社労士:
そうでしたか。それは大変ですね。さて、傷病手当金ですが、これを受給するためには、4つの要件が必要となります。




まず



ということは、自らの担当業務を行うことはできなくとも、他の軽い仕事であればできるような場合は、どのように考えればよいのですか?
大熊社労士:
はい、この場合、もとの仕事につくことができない場合に該当しますので、他の軽い仕事ができても労務不能となります。ただし、半日の時間であれば同じ仕事ができる場合については労務不能とは認められませんので、注意が必要です。
宮田部長:
なるほど。これまでと同じ仕事ができるのかという点がポイントになるのですね。
大熊社労士:
次の

1)休休出休休の場合
この場合、2日しか連続して休んでいませんので、傷病手当金は受給できません。
2)休休休出休の場合
この場合、3日連続して休んでいますので、5日目から傷病手当金を受給できます。
福島さん:
1)の場合で休休出休休の後にずっと休み、休休出休休休休・・・となったら、いつから受給できるのですか?
大熊社労士:
この場合、再び休み始めた日から3日間を数えることになりますので、7日目から受給できることになります。
宮田部長:
彼は月曜日から一週間休んでいるから、3日間は満たしてしています。この一週間については年休を取りたいと言ってきているのですが、年休を取っても3日間として数えて大丈夫でしょうか?

大丈夫です。待期期間を数える際、その日が年休となる賃金が支給されても関係なく、あくまで労働不能で会社を休んだことが条件となります。ちなみに仕事の帰りにケガをしてしまった場合は、その翌日から待期期間を数えることになります。
宮田部長:
安心しました。しかし、彼が年休をとっている間については、傷病手当金は支給されないということでしょうか。
大熊社労士:
それが先ほど4点挙げた

宮田部長:
長期で休むことになるので、年休を取得するのか、それとも年休は取得せず傷病手当金を受給する形にするのか、本人に話してみます。また相談させてください。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス] こんにちは、大熊です。今回は傷病手当金の受給について取り上げてみましたが、休職期間中の年次有給休暇の取得についてお話しましょう。これについては、通達(昭和24年12月28日 基発第1456号、昭和31年2月13日 基収第489号)が出されており、「休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができない」とされていることから、休職中に年次有給休暇は取得できないという結論になります。

2007年5月24日「退職後に受給する傷病手当金のポイントと実務上の注意点」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50978405.html
参考リンク
社会保険庁「保険給付(被保険者に関する給付)」
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu07.htm
(福間みゆき)
当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」、「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。