年末の部下面談での上手な質問の仕方を教えてください

 年末の個人面談の季節が近づいてきた。いつものことながら各部署の管理職から、部下と一体どのような面談を行うことが効果的なのかといった質問が寄せられる宮田部長は、大熊社労士に部下との面談のポイントについて質問していた。






宮田部長宮田部長:
 もう11月も終わりですね。本当に1年というのは早いもので、先日元日に立てた個人的な目標を見返してみたのですが、まったく目標が達成できないうちに今年もおわってしまいそうですよ(苦笑)。
大熊社労士:
 そうですか。宮田部長、私も毎年元日に目標をたてるのですが、手帳の最初のページに目標を貼り付けたり、会社の机にあるカレンダーなどに貼っておいて常に目に入るようにすると、日常的にそれを意識することから案外目標を達成できますよ。
宮田部長:
 なるほど、そうですか。毎日見ることが大切なんですかね。そうそう、年間のまとめということで思い出しましたが、当社では年末に上司が部下の面談を行っています。毎年面談をする者から「どのように面談をしたらいいのか?」というような悩みの声を聞くのですが、ポイントのようなものをアドバイスいただけないでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、部下の面談のときの上司が気を付けるべきポイントということですね。それでは、コミュニケーション能力という観点からいくつかポイントを説明させていただきましょう。
宮田部長:
 お願いします。、コミュニケーションってなんだかわかったようなわからないような言葉ですよね。
大熊社労士大熊社労士:
 ええ、「よくあの人はコミュニケーション能力が高い、低い」などと言うことがありますが、「コミュニケーション能力」のままではよく分かりませんよね。コミュニケーションの基本は「会話」となりますが、これは「話す」ことと「聞く」ことの2つに分けられます。

宮田部長:
 ああ、そうですね。「うちの部署はコミュニケーションが悪い」なんていっていると、具体化しませんが「うちの部署は会話がない」と日本語に言い直すと、危機感がよく伝わると何かの本で読んだ覚えがあります。
大熊社労士:
 なるほど、すばらしい言い換えですね。早速私も使わせていただきますよ(笑)。さて、まずは「話す」方のことから確認しておきましょう。これは「能力」として言い換えると「質問力」というような言い方ができますね。
宮田部長:
 質問力ですか。クローズドクエスチョンとかオープンクエスチョンというものを聞いたことがありますす。意味はちょっと覚えてないですけど…。
大熊社労士:
 そうですね。クローズドクエスチョンというのは、答が一つしかないような質問で、例えば、えー、突然の質問になってしまいますが、「宮田部長、りんごがお好きですか?」
宮田部長:
 はい、好きです。
大熊社労士:
 ありがとうございます。クローズドクエスチョンというのは、このように答が決まってしまって、広がりがないような質問のことで、別名「特定質問」とも言われています。一方、オープンクエスチョンというのは、「宮田部長、将来の夢はなんですか?」という形式のものです。こう聞かれたらどのように返答しますか?
宮田部長:
 ん~、そうですね~、定年を迎えたら、世界一周旅行にいくのもいいし、東南アジアのビーチリゾートでのんびりなんてのも捨てがたいな~、いやいや日本中のおいしいものを食べ歩きなんてのもありかな。
大熊社労士:
 そうそう、このように答を広げさせるような質問のことをオープンクエスチョンといって、別名「拡大質問」といったりもします。
宮田部長:
 なるほど、面談のときなんかには、「○○君は、将来はどういった仕事を担当してみたいの?」なんて質問を投げかけ、部下に主体的に目標を考えさせることもできそうですね?
大熊社労士:
 そのとおりです。面談で部下の考え方を引き出したいようなときにはオープンクエスチョンというのは有効な手段ですね。ただ、あまりも質問が大きすぎると具体化できずに回答に窮することもあるので注意してくだいさいね。また、オープンクエスチョンばかりなく、クローズドクエスチョンも面談の場面においては重要なんですよ。例えば怖い上司がいて、いきなりオープンクエスチョンをしても、部下が緊張していてうまく質問に答えられない場合もあります。そんなときは、簡単に答えやすい質問から入っていって、部下の緊張をクローズドクエスチョンで解いてあげるという使い方もあるんです。
宮田部長:
 なるほど、上司としては、その場その場で臨機応変にどちらの質問もできるようにしておいてもらわないといけませんね。
大熊社労士:
 ええそのとおりです。次回は「聞く」側の能力についてお伝えしましょう。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは大熊です。部下の育成面談などの場においては、特定質問と拡大質問と同様に、未来質問と過去質問、肯定質問と否定質問を知っておくことも大切ですので、そちらについてもお伝えしておきましょう。


 未来質問というのは未来の目標達成に向けて「これからどうしたいのか?」「どうすれば達成できるか?」を聞くことを言います。部下の視点を未来に向かわせたいときに使います。一方過去質問というのは、「これまではどうだったのか?」など過去について聞くときに使います。もちろんこれも過去質問が悪いというわけではなく、部下と過去の共通認識を確認したいときは有効な質問となります。


 肯定質問というのは、否定的な言葉を含まない質問です。「どうすれば達成できるか?」と聞くことによって部下に前向きな意欲を与える効果があります。一方の否定質問は「どうして失敗したのか?」というような否定的な言葉になっているような質問のことをいいます。こちらの否定的な質問が悪いということではなく、反省点を考えさせてから、未来質問につなげるなど、部下の思考を導くときには有効な質問です。


 どちらにしても上司はいろいろな質問のメニューをそろえておき、臨機応変に使い分けることが、有効な面談とするために重要なポイントとなります。


(中島敏雄)


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