離職票の電子申請がスタートしたと聞きました

 大熊が服部印刷を訪問すると、早速福島さんが相談にやってきた。


福島照美福島さん:
 大熊先生、こんにちは。突然なのですが、先日から離職票の手続きを電子申請でできるようになったと小耳に挟んだのですが、どのようなものか教えていただけませんか?
大熊社労士:
 はい、始まってまだ1週間ですが、さすが福島さん情報が早いですね。社会保険の電子申請手続きはすでに何年も前からスタートしていますが、実は電子申請でできる手続きとそうではない手続きがあるのです。
宮田部長:
 そうなのですね。電子申請でなんでもできるのかと思っていました。
大熊社労士:
 今回、平成23年11月28日から離職票の手続きが電子申請で可能となったのですが、これにより日常的に行う手続きの多くが電子申請に対応したという印象がありますね。ちなみに、「離職票」と単純にお話していますが、正確には、「離職票の交付を伴う雇用保険被保険者資格喪失届」の手続きのことを言います。まぁ、離職票と呼びながらお話をしていきましょう。
福島さん:
 大熊先生、私が離職票の電子申請ができると聞いて、一番気になったことは、離職票の紙の様式にある本人が離職理由を確認し、署名する欄はどうなるかということだったのですけど…。
大熊社労士:
 おっしゃる通りですよね。私も離職票が電子申請でできると聞いたときから、どうなるのだろうかと疑問に感じていました。これについては、別途「離職証明書の記載内容に関する確認書」というものが用意されています。
宮田部長宮田部長:
 確認書ですか。それは離職票とは別途もらう形になるのですか?
大熊社労士:
 はい、そうですね。この確認書は別途様式があり、以下の2つの項目を離職者が確認することになっています。
1.離職証明書の記載内容のうち、離職理由欄以外の記載内容が、事実と相違ないか。
2.事業主が記入した離職理由について、異議があるかないか。
福島さん:
 紙の離職票でもある内容ですね。いつも退職者に署名(記名押印)してもらっています。
大熊社労士:
 そうです。紙の離職票に離職者が記入するものを別紙にしたようなイメージですね。実務的には離職者にこの確認書に署名(記名押印)してもらって、提出することになります。電子申請の際には、この確認書をPDFファイル等として添付することになるんですよ。
服部社長服部社長:
 そのような手続きになっているんですね。ちなみに電子申請というと、電子署名が必要かなと私は思ったのですが、そのあたりはどうなっているのですか?
大熊社労士:
 はい、説明が逆になってしまったのですが、この確認書を添付することで離職者の電子署名の代わりにすることができます。本来であれば、離職票を作成したものに離職者の電子署名を加えてから申請するという流れとなります。しかし、それでは離職者が電子署名を取得していなければならず、いまの段階では非現実的という判断がなされたのでしょう。確認書で省略ができるのであれば便利に使えそうですね。
福島さん:
 ところで、実際に申請した後に離職者本人に渡す書類はどのようにして送られてくるんですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、それもどのような取扱いになるか注目をしていたところですが、電子公文書として通知されることになりました。具体的には、紙の手続き同様、離職者本人用と事業主控用の書類が電子申請を行った申請者の元にPDFファイル等で送られてきます。そのうち離職者本人用のものを離職者に送付するということになりますね。
福島さん:
 それでは電子公文書として発行されたものを印刷するなどして、離職者本人に渡せばいいのですね。
大熊社労士:
 そうですね。事業主控用は保存することになりますよ。
福島さん:
 よく分かりました。ありがとうございます!離職票はすぐに欲しいという要望も多く、できるだけ離職者の希望に沿うように、ハローワークに出向いていましたが、車で行かなくてはならなく、待ち時間も長かったので電子申請でできると便利になりそうです。
服部社長:
 確かにそうだね。うちはまだやっていないが、導入を検討しようか?大熊先生、詳しい内容を次回にでも教えてもらえませんか?
大熊社労士:
 はい、了解しました。なるべく福島さんの業務の手間が減るように一緒に勉強していきましょう!

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。離職票の電子申請が先週から始まりました。離職者本人の電子署名は確認書を用いることで省略ができ、事業主の電子署名について社会保険労務士が申請代行する際には「提出代行に関する証明書」を離職票の提出に併せて送信することで省略できることになっています。また、離職者からの
確認書が取れない場合で、社会保険労務士が電子申請を行う場合は、「被保険者の確認を得られないやむを得ない理由について (事業主の疎明書)または(社会保険労務士の疎明書)」のいずれかに必要事項を記入し、PDFファイル等で添付することで代わりになるとされています。ただし、これらの疎明書を添付することで、安易に離職者の確認を得ずに届出を行うことのないようにする必要があります。


関連blog記事
2011年11月29日「離職票の電子申請スタートに伴い、電子化された雇用保険の各種返戻書類」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51892783.html
2011年11月22日「電子申請で離職票手続きを行なう際の離職者本人の署名取扱い」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51890538.html
2011年11月14日「電子申請で手続きを行なった離職票手続きは電子公文書による発行に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51888262.html
2011年10月17日「11月28日から予定される離職票の電子申請交付とその申請方法」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51880942.html
2011年9月20日「ネットから印刷して利用できるようになった雇用保険の帳票類」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51874539.html
2011年6月29日「離職票発行の電子申請は平成23年11月28日から受付開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51856892.html

参考リンク
全国社会保険労務士会連合会「離職票交付を伴う雇用保険被保険者資格喪失届の電子申請にかかる取扱いについて(事前情報)」
http://www.shakaihokenroumushi.jp/social/topics/2011/1116.html

(宮武貴美)

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