今年も最後の訪問になりますね
この連休は全国各地が寒波に襲われ、非常に寒いクリスマスとなった。ということで今年も残すところあと1週間。服部印刷への訪問も本日が年内最後となった。
大熊社労士:
こんにちは、今日も寒いですね。
服部社長:
本当にそうですね。それにしてもクリスマスも終わり、もうすっかり年末になりますね。今年もお世話になりました。
大熊社労士:
いえいえ、こちらこそお世話になりました。それにしても今年は東北の大震災といい、超円高といい、企業経営にとっては大変な1年になりましたね。
服部社長:
そうですね。リーマンショックからやっと立ち直ったと思った矢先でしたからね。当社も受注の減少に加え、紙やインクの高騰でコストが跳ね上がったので大変な1年になりましたが、なんとか無事に年末を迎えることが出来て、一安心といったところです。
宮田部長:
先日は無事、冬のボーナスを社員に支給することもできましたしね。世間では賞与が支給できない中小企業が多いとも聞いていますので、それと比較すれば恵まれていると思います。
大熊社労士:
確かにそうですね。それにしても今年を振り返ると、本当に労働トラブルが増えた1年だったと思います。御社では社員のみなさんとのコミュニケーションもよく取れているので、そうした問題はあまりありませんが、世間では本当にトラブルが多くて、今年は本当に振り回されましたよ。
服部社長:
そうでしたか。それで具体的にはどのようなトラブルが多かったのですか?
大熊社労士:
退職者からの未払い残業代の請求などはいつもどおり多かったのですが、今年特に顕著だったのはハラスメント事件と横領事件ですね。
服部社長:
そうなんですね。
大熊社労士:
はい、この2つは例年になく、非常に相談が多かったように思います。時代の閉塞感やそれに伴うストレスの大きさが原因なんでしょうかね。信頼していた幹部がそうした事件を起こし、呆然とする経営者の姿を何度も目にし、こちらまで辛くなることが多かったです。その意味で、ハラスメントについてはしっかりとした社員教育と通報窓口の充実などが求められますし、横領もそうした問題が起きてしまう環境を作ってしまった会社側に問題があると感じることが少なからずあったように思います。
服部社長:
なるほど。当社では幸いなことにこれまでそうしたことはありませんでしたが、今後は労使双方のためにそうした問題が起きないような体制整備が求められるのかも知れませんね。
宮田部長:
大熊先生、来年のことを言えば鬼が笑うと言われてしまうかも知れませんが、来年予想される法改正にはどのようなものがありますか?
大熊社労士:
おっ、早くも来年の対策ですか!そうですね、簡単にお話ししましょうか。まずは労働者派遣法の改正は年明けの国会で継続審議となっています。当初案からすればかなり骨抜きになっていますが、新聞報道によれば与野党合意に至っているということですので、やっと成立に辿り着くことができそうですね。派遣法が片付くと、いよいよ本命である有期労働契約法制の議論が本格化してくることでしょう。
服部社長:
有期労働契約法制ですか…。
大熊社労士:
はい、いわゆる非正規労働者が全労働者の3分の1を占める状況になっていますが、有期労働に関する明確なルール作りがなされていないことから、その法整備を行おうという動きが今後本格化してきます。基本的には労働者保護という視点が強いことから、企業にとっては様々な規制が課せられる可能性が高いため、この動向には注目しておく必要がありますね。それと並んで注目なのが、社会保険の適用範囲の拡大ですね。こちらも企業側の反対が強いので様々な紆余曲折が予想されますが、現在の4分の3基準を見直し、雇用保険と同じく、31日以上の雇用見込みかつ週20時間で社会保険を適用しようとする動きが出ています。
服部社長:
これはパートタイマーが多い企業にとっては大問題ですね。
大熊社労士:
そうですね。しかし、健保や年金の財政が悪化する中で、このあたりの見直しは不可避でしょう。実際に適用範囲が拡大となる場合には中小企業への猶予措置などもあるとは思いますが、こちらも今後の状況に注意が必要となります。その他、高年齢者法改正などは年明け以降、早い段階で動きがあるでしょうね。
宮田部長:
なるほど、今年は政局が混乱していたこともあり、あまり法律の改正がなかったように思いますが、来年はいろいろと改正に向けた動きが見られそうですね。
大熊社労士:
そうですね。こうした情報は継続してお伝えしますので、来年も引き続きよろしくお願いしますね。
服部社長:
ありがとうございます。こちらこそ引き続きよろしくお願いします。それでは良いお年を。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。大熊ブログは今回が2011年最終回となります。今年も1年間ご愛顧いただきましてありがとうございました。文中でも述べましたが、今年を振り返ると、本当に労働トラブルが多い1年であったと思います。このブログは2007年1月1日に「企業の人事労務管理の質を向上させ、労使が共にハッピーに働くことができる環境創造の一助になること」を目的にスタートさせました。来年も経営者や管理者が知っておくべき人事労務管理の基礎を分かりやすくお伝えしていきますので、引き続きご愛顧いただきますようよろしくお願いします。それではみなさん、よい年末年始をお過ごしください。
(大津章敬)
当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」、「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。