平成25年度の社会保険料はどうなりますか?

 大熊が、服部印刷に到着すると、何か考え込んでいる宮田部長の姿が見えた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。先日、ふと思ったのですが、毎年3月とか4月とかって社会保険料が変更されるタイミングでしたよね?来年度はどうなりそうですか?また、いろいろ変えるの間違えそうで嫌だなぁと思っていました。
大熊社労士:
 そういえば、まだ何もご案内していませんでしたね。ちょうど協会けんぽの保険料率の発表があったので、整理しておきましょう。といっても、何も変わらないということになるんですけどね。
宮田部長:
 え?そうなんですか?それはありがたい!
大熊社労士:
 こんな年も珍しいと思っていますよ。最近は頻繁に変更されていましたのでね。さて、通常、3月・4月に変更される社会保険料を順番に見ていきます。具体的には健康保険料率、介護保険料率、雇用保険料率、労災保険率の順番で見ていきますね。
宮田部長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 まず、の健康保険料率ですが、毎年3月分(4月末納付分)から変更されていました。財政状況はよくなく、協会けんぽから厚生労働省等に働き掛けが行われ、その結果として平成24年度の保険料率を据え置くことが決定したのです。これまで3年連続で引き上げが行われ、相当負担が大きくなっていましたからね。
宮田部長宮田部長:
 確かにそうですね。でも、引き上げとならずにホッとしましたよ。愛知県の保険料率は9.97%でしたっけ?労使折半するというものの、やっぱり大きいですよね。さらに今年は税金が上がっているので、手取りが若干でも少なくなり、なんだか、私のせいではないのに申し訳ない思いがしていました。
大熊社労士:
 そうですね。それでは次にの介護保険料ですが、これも据え置きとなりました。健康保険料率は都道府県ごとで異なりますが、介護保険料率は全国一律で1.55%のままです。
宮田部長:
 了解しました。
大熊社労士:
 次に雇用保険料率ですが、これも据え置きです。雇用保険も財政状況に応じて、毎年度保険料率を見直すのですが、来年度は引き上げずに据え置きでも大丈夫な情勢のようですね。こちらにリーフレットがあるのでご案内しておきますね。
服部社長服部社長:
 大熊さん、これ厚生労働省が出しているリーフレットということですよね?なぜ、保険料率が変わらないということをわざわざ周知するようにしているのですか?
大熊社労士:
 はい、疑問に感じるところですよね。大まかにお話をすると、実は、現在の雇用保険料率…来年度も据え置きとなる料率は、法律の条文で定められているものと少し異なるのです。というのも、雇用保険料率は財政状況に応じ、一定の範囲で料率を上げ下げできるように規定されており、昨年度からは下げることのできる料率のうち、最低となっているのです。これを雇用保険の弾力条項と呼んでいるのですが、その弾力条項として発令されていたものが平成24年度までであったため、平成25年度も改めて弾力条項を発令し、その結果、このようなリーフレットができたのです。
服部社長:
 なるほど。そんなルールがあったのですね。
大熊社労士:
 はい、通常はいまの説明はまったく頭に置いていただかなくて結構ですけどね(笑)
宮田部長:
 私の場合、既に右の耳から抜けていきました(笑)。据え置き・変更なし!というのは頭に入っていますので、大丈夫ですよね!
大熊社労士:
 はい、十分です(笑)。さて、最後にの労災保険料率についてお話しておきましょう。これも変わらないということですので問題ありませんよね。
宮田部長:
 確か、去年、概算がうんぬんかんぬんとかやっていたアレですよね。
大熊社労士大熊社労士:
 労働保険の年度更新のことですね。そうです、大きく関係するのはそれです。労災保険料率も、労災保険給付等の状況を確認し、こちらは3年に1度、改正されることになっています。この改正については今年度(平成24年度)に変更されているので、平成25年度は変更なしとなります。変更なしの場合でも、毎年、厚生労働省のホームページでは毎年4月1日時点の労災保険料率表が掲載されるようで、まだ公開になっていないため、本当に変更がないかを私自身、しっかり確認しようと思っていますけどね。
宮田部長:
 もし、変更されるようなことがあれば教えてくださいね。
大熊社労士:
 もちろんです。ということで、当分、給与計算ソフトの設定変更もないので一安心ですね。
宮田部長:
 そうですね。ありがとうございました。

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to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は来年度の社会保険料率について取り上げました。なお、厚生年金保険料率は毎年9月分(10月末納付分)から来年度も変更になります。また、今回は従業員が負担する料率について、変更なしという視点で確認してきましたが、児童手当拠出金率については、来年度、変更になる可能性があります。


関連blog記事
2012年12月20日「平成25年度の雇用保険料率」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51240017.html

参考リンク
協会けんぽ「平成25年度の協会けんぽの保険料率は据置きとなりました」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,0,131,735.html

(宮武貴美)

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