基礎年金番号に仮番号が追加されるのですか?

 4月は企業も社労士も忙しくなる時期ではあるが、しっかりと新しい情報も提供しなければと思いながら、服部印刷に向かう大熊であった。


大熊社労士:
 こんにちは、大熊です。
服部社長服部社長:
 大熊さん、こんにちは。4月になってから、経営者仲間の間で改めて改正高年齢者雇用安定法等が話題になっていますよ。新聞などで目にする機会が多くあったからでしょうかね。改めて65歳までの雇用となると賃金制度の見直しもしなくてはいけないかなといった話がよく聞かれます。
大熊社労士:
 確かにそうですね。そういえば、私の知り合いが来月、名古屋で「希望者全員65歳雇用の時代に求められる人事諸制度見直しのポイント」というセミナーを開催するようですので、よろしければご参加ください。
https://www.roumu.com/seminar/seminar20130516.html
宮田部長:
 さて、年金といえば先日、基礎年金番号に仮番号が発行されると聞いたのですが、それってどのようなものなのですか?
大熊社労士:
 おっ、情報が早いですね!実はまだ始まったばかりの制度ですので、私も実際に見たことはないのですけど、年金記録を確実にするために始まるものです。現在、年金記録は基礎年金番号で管理されていますが、この基礎年金番号をいくつも持っている人がいることなどが、年金記録問題のひとつにありました。年金記録がつながらずに、加入期間が短くなっていたり、支給額が低くなっていたりすることが問題となっていました。今回は、それをなくす取り組みとして仮番号の発行が始まりました。
宮田部長:
 なるほど。何か私の方ですぐにやるべきことはありますか?
大熊社労士:
 そうですね、特にいますぐに対応しなければならないことはないかとは思います。実際に従業員が入社したときには年金手帳を持ってきてもらっていますよね?
宮田部長宮田部長:
 はい、持ち物のひとつとして入社前に案内していますよ。無くしたときは基礎年金番号を調べておいてくださいね、と伝えています。
大熊社労士:
 であれば、ばっちりです!
宮田部長:
 ・・・実は福島さんが案内していたのですけどね。
大熊社労士:
 やっぱり(笑)。そんなことかなと思っていました。さて、入社する社員にそのように伝えても年金手帳をなくして、基礎年金機構番号が分からない人などもいますよね。
宮田部長:
 はい、いますね。
大熊社労士:
 困ったものですが、そういう方については、被保険者資格取得届を書くときに、運転免許証等で本人確認のうえ、被保険者資格取得届とともに年金手帳再交付申請書を提出しているかと思います。
宮田部長:
 はい、高卒などで年金に加入したことのない人以外はその対応をしていますよ。
大熊社労士:
 その方々については、届出により日本年金機構で基礎年金番号の特定をすることになっています。そして、特定できた人については、通常通り、元々持っていた基礎年金番号で年金手帳の再発行がされるわけですが、基礎年金番号が特定できない人で、氏名、性別および生年月日から既に基礎年金番号を持ってる可能性があると判明した場合には、仮基礎年金番号を発行することになります。これが4月から変更になった宮田部長が「仮番号」とおっしゃったものの正体です。
服部社長:
 疑わしい人に、再度、基礎年金番号を発行してしまうと、また年金記録がばらばらになってしまうからということですね。
大熊社労士:
 はい、そうですね、この仮基礎年金番号は、他と区分するために上4桁が「990X」となっているとのことです。
宮田部長:
 今後、そのような番号を目にするかもしれないですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。実際には、仮基礎年金番号が、「資格取得確認および標準報酬決定通知書」に記載されてきますので、ここで見る機会があるかもしれません。また、年金手帳は原則として交付されないことになっています。
宮田部長:
 なるほど。対象者がいたときには通知書を確認してみますね。
大熊社労士:
 そうですね。
服部社長:
 ところで、いつまでも仮の番号でいるわけにはいかないと思いますが、何か本人に影響はあるのですか?
大熊社労士:
 社会保険には当然加入できますし、本来の基礎年金番号と同様に国民年金の適用・保険料の納付等もできますので、すぐに問題になることはありません。既に基礎年金番号を持っている可能性が高いため、そのままの状況では年金給付の裁定請求はできないこととなっています。
服部社長:
 なるほど、年金を受給する前に本来の基礎年金番号に統合していこうということですね。
大熊社労士:
 そうですね。ですので、仮基礎年金番号を発行した人については、後日「基礎年金番号確認のお願い」が年金事務所から送付されてくるようです。職歴や住所等記載のうえ、年金事務所に返信することになり
ます。従業員の方には送付されてくるのでしっかり確認するように伝えておいたほうがよさそうですね。
宮田部長:
 了解しました。対象者にはきちんと伝えるようにしますね。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は今年の4月から始まった仮基礎年金番号について取り上げました。仮基礎年金番号では年金手帳が交付されないとお伝えしましたが、一定の期間を過ぎても仮基礎年金番号のままの被保険者には、本来の基礎年金番号が確認されるまでの間使用する年金手帳が発行されることになっています。基礎年金番号は年金記録のカギになるものですので、再度、従業員にしっかり管理するように伝えておきたいものです。


関連blog記事
2013年3月6日「来年度から発行されることになった仮基礎年金番号」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51981597.html

参考リンク
日本年金機構「日本年金機構からのお知らせ平成25年3月号」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/share/pdf/existing/main/employer/todofuken/pdf/new/zenkoku.pdf

(宮武貴美)

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