離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(2)待期と給付制限

 先週は離職票を受け取った従業員が、ハローワークでどのように離職理由の確認を受けるのかについて解説した大熊。今週はそれに引き続き、間違いやすい待期と給付制限をテーマに取り上げることとして、いつもの会議室に向かった。
前回の記事はこちら
2013年5月27日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(1)離職理由の確認」
https://roumu.com/archives/65613436.html


大熊社労士:
 宮田部長、こんにちは。前回、雇用保険の離職票の離職理由についてお話をしましたよね。
宮田部長宮田部長:
 あぁ、そうでしたね。あの後、離職票をハローワークに届け出する機会があったのですが、「自己都合」と書いたら「本当に自己都合ですか?」とハローワークの方に尋ねられるんじゃないかとドキドキしてしまいました。
大熊社労士:
 あはは。離職理由は事実を記載すればよいのですよ。これまでも「自己都合」と書いて何か言われたこと、なかったでしょ?
宮田部長:
 確かにそうですね。いろいろなことを学ぶと学んだからこそ慎重になってしまうなんてこともありますね。今日は確か待機とかいうやつでしたよね。
大熊社労士:
 はい、そうです。ただし正確には「待期」という漢字を書きます。
宮田部長:
 へぇ~、そうなんですね。それで、その「待期」ってやつはどんなものなのですか?
大熊社労士:
 これは失業手当を受給するために、誰もが必ず過ごす必要のある期間です。ハローワークに行き、求職の申込・受給資格の決定が行い、そこから通算して7日間、失業の状態にある日のことを待期と言います。
宮田部長:
 あれ?解雇された人とかはすぐに失業手当がもらえたように思うのですが・・・。
大熊社労士:
 良いご指摘ですね。それは通常、「給付制限」のことを指しています。待期と給付制限は非常に混同しやすく、間違った理解をしている人もたくさんいらっしゃいます。また、待期自体を知らないという人もいらっしゃいますね。
宮田部長:
 ・・・私のことですね(苦笑)
大熊社労士:
 いえいえ、なかなか失業手当をもらった人じゃないと理解できないものですよ(笑)。さて、待期ですが、給付制限の前の7日間のことであり、先ほどもお話ししましたが、この待期の7日間は、離職理由にかかわらず失業手当の支給対象の日にはなりません。逆にいうと、待期の最終日の翌日からが失業手当の支給対象の日となるのですが、離職理由によって給付制限がかかるという仕組みになっています。
宮田部長:
 へぇ、待期はそういう期間なのですね。
大熊社労士:
 はい。
宮田部長:
 ん?ということは解雇等で退職をした人は失業手当をすぐにもらえるというのは、給付制限がかからないということですね。
大熊社労士大熊社労士:
 ご名答!鋭いですね。この給付制限は、正当な理由がなく自己都合で退職した場合や自己の責任による重大な理由により解雇された場合にかかるものであり、待期が満了した翌日から3ヶ月間となっています。つまり、これ以外の人に関しては、すぐに基本手当の支給が開始されることになります。
宮田部長:
 じゃ、8日目から失業手当がもらえちゃうんだ!すごいですね~。
大熊社労士:
 あ、すみません。すぐに支給が開始されるというのは、失業手当の支給対象の日となるという意味で申し上げました。実際に支給されるのは、支給対象となった日から原則として28日間が経過した日以降になります。
宮田部長:
 え?どういうことですか?
大熊社労士:
 はい、失業手当は1日ごとに支給されるわけではなく、ハローワークが指定する認定日に失業していることを確認の上、手続きをして支給されるのです。この認定日というのが、原則として28日(4週)に1回となっているのです。
宮田部長:
 なるほど。私はてっきり、毎日のようにハローワークに行って、就職活動をして、その日の分の失業手当を受け取って帰るんだと思っていました。
大熊社労士:
 あはは!そうしたら、ハローワークは入りきらないくらいの失業者が集まってきちゃいますね。もちろん、ハローワークでは、仕事についての相談や求人情報の提供をしていますので、毎日のように行ってもよいのですが、必ず毎日行かなければならないものではありませんよ。
宮田部長:
 そうなんですね。じゃ、給付制限となる人に関しては、次にハローワークに行くのは3ヶ月後だったりするんですか?
大熊社労士:
 これまたよい質問ですね。実は給付制限期間中にも認定日があり、最初の認定日については、失業の認定を受ける必要があるため、ハローワークに行くことになります。
宮田部長:
 なるほど。やはりお金をもらうというのはそれなりの苦労があるということですね。
大熊社労士:
 確かにそうですね。その前提には「就職活動をしていること」というのも要件になりますからね。それでは今日はこれくらいに
して、次回は、認定日にどのようなことが行われるのかについて説明することにしましょう。
宮田部長:
 了解しました!またよろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は待期と給付制限について説明しました。実際に認定日に手続きを行うと、おおむね1週間後に失業手当が振り込まれることになります(金融機関により若干異なる)。このため、離職後、最初にハローワークに行く際には、失業手当を振込んでもらう金融機関の預貯金通帳を持っていくことになります。


関連blog記事
2013年5月27日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(1)離職理由の確認」
https://roumu.com/archives/65613436.html

参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_procedure.html

(宮武貴美)

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