中小企業の1ヶ月60時間超の残業に対する割増率引き上げの見込みはどうですか?

 いつもどおり、服部印刷に顔を出した大熊を待ち受けていたのは、服部社長であった。


服部社長:
 大熊さん、こんにちは。今日は私から確認したいことがあるのですがよろしいですか?
大熊社労士:
 はい、もちろんです。どのようなことですか?
服部社長:
 確か、少し前に改正労働基準法のことで、一緒に復習していただいたじゃないですか。
大熊社労士:
 あぁ、こちらの件ですね。
関連blog記事:2013年11月11日「残業が月60時間を超えた場合に引き上げられる割増率について教えてください」
https://roumu.com/archives/65635005.html
服部社長:
 そうです、そうです。その1ヶ月60時間を超えた残業に対する割増率の引き上げ件について、先日同業者の集まりで話題に出ましてね。いったいどうなるんだろうかと。そこで現在の状況を教えてもらいたいと思うのです。
大熊社労士大熊社労士:
 なるほど。中小企業の経営者としては気になるところですよね。私は定期的に厚生労働省のホームページなどをチェックしているのですが、その中で公開されている審議会の資料などで把握している状況についてお話ししたいと思います。改正労働基準法が施行されたのが平成22年4月でした。中小企業については「この中小事業主に対する猶予措置については、改正法の施行後3年を経過した場合において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と附則に記載され、適用されませんでした。
宮田部長:
 うちもドキドキしたけど、まだ大丈夫ってことになったんですよね。
大熊社労士:
 はい、そうでしたね。この附則に記載されている3年というのが当然ながら平成25年4月なわけですから、我々の同業の中でもどうなるのだろうか?と話していたのですが、特に今年の春に法改正が行われることはありませんでした。
福島照美福島さん:
 私も気にして新聞をチェックしていたのですが、全然、取り上げられないのでどうなったんだろう?と思っていました。
大熊社労士:
 そうですよね。その後、やっと今年も半ばに入り議論が開始されています。それが厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会というところでの議論です。この分科会はその名の通り、労働条件や労働契約に関することを議論する場なのですが、今年9月に開催された分科会では「今後の労働時間法制のあり方について」が議題として挙げられています。
服部社長:
 なるほど、その分科会で議論が進められ徐々に上に上がっていくのですね。
大熊社労士:
 はい、おっしゃる通りです。公益代表・労働者代表・使用者代表が議論を交わしていくことになっています。今回の件もこの場で議論が始まっており、2013年9月27日の議事録を確認すると、「閣議決定上、総合的な労働時間の議論に関しまして、1年を目途に結論を得るということにされているところです。このスケジュール感に沿って本分科会における御結論を取りまとめいただければありがたいと考えております。お取りまとめいただいた結果、法改正が必要な内容であるということであれば、審議会で得られた結論に従って政府として誠意を持って所要の措置を講じていくことになるのではないかと考えております」と労働条件政策課長が発言しています。
服部社長服部社長:
 なるほど。となると、方向性は分からないが、この分科会とやらで議論が行われ来年の今頃には何らかの方向が示されていそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。ただ、どうなるかはまだ分かりませんけどね。まぁ、いずれにしても私自身はこの分科会は注目をしていきたいと思っていますよ。
宮田部長:
 なるほど、私は大熊先生の発言に注目をしていきたいと思います!
福島さん:
 私は新聞等の情報にも目を向けていきたいと思います。
宮田部長宮田部長:
 福島さ~ん、スルーしないで突っ込んでよね。なんだかさみしいじゃない。
大熊社労士:
 あはは。まぁまぁ、宮田部長のように注目してくれる人がいないと、私も張り合いがないので、是非、今後も集中してお話を聞いてくださいね。
服部社長:
 じゃぁ、私も大熊さんの発言に注目することにするよ。よろしく頼みます。
大熊社労士:
 はい、承知いたしました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
  こんにちは、大熊です。今日は中小企業に猶予が廃止されると、就業規則(賃金規程)の変更や、勤怠管理のシステムの変更等、影響が広範囲にわたります。この情報には注目すると共に、月60時間を超える時間外労働がある企業は、できる限りの削減をするようにしましょう。


関連blog記事
2013年11月11日「残業が月60時間を超えた場合に引き上げられる割増率について教えてください」
https://roumu.com/archives/65635005.html

参考リンク
厚生労働省「第103回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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