育児休業期間中に出勤しても育児休業給付は支給されますか?

 暑さも和らぎ、過ごしやすくなったなぁと思いながら、大熊は服部印刷の門をくぐった。


宮田部長:
宮田部長 大熊先生、先日、育児休業期間中に出勤したら、雇用保険からもらえる給付がもらえなくなると聞いたのですが、本当ですか?
福島さん:
 私もメルマガだったか・・・何かで見た覚えがあります。確か、調整される内容が変更になったとか・・・。
大熊社労士:
 福島さんはきっと2014年10月1日から変更になる内容の案内をご覧になったのですね。今日はその内容について確認しておくことにしましょう。
福島さん:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 まず、9月30日までの取扱いを確認しておきましょう。これまで一番重要だった内容は、1ヶ月間に何日出勤するかという点でした。
宮田部長:
 1ヶ月間?
大熊社労士:
 はい、育児休業給付はそもそも1ヶ月単位で支給額を決定し、2ヶ月単位で支給申請を行いますよね?その支給する1ヶ月の支給単位期間(育児休業を開始した日から起算した1ヶ月ごとの期間)に、実際に何日就業しているのかを確認していたのです。
福島さん:
 確か、10日が基準だったような覚えがあります。
大熊社労士:
 さすが福島さんですね!そうです。支給単位期間中に10日を超えて、つまり11日以上就業した場合、その支給単位期間について育児休業給付金は支給されないことになっていました。
宮田部長:
 ということは、雇用保険は「11日以上働くのであれば、育児休業じゃないよ~!」という判断をしていたってことだ!
大熊社労士:
 そうですね。上手な表現をされますね。確かにそういう意味だと思いますよ。さて、これがどのように変わるかというと、11日以上就業していても良いことになります。ただし、その代わりに就業時間の制限が設けられています。
福島さん:
 あ、私、それ見ました。確か80時間より多く働くといけないって・・・。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、そのとおりです。支給単位期間中に11日以上就業をした場合でも、就業していると認められる時間が80時間以下のときは、育児休業給付が支給されるということになっています。少しややこしいのでまとめておきましょうか。
就業日数10日以下
  →支給される
就業日数が11日以上、就業時間が80時間以下
  →支給される
就業日数が11日以上、就業時間が81時間以上
  →支給されない
 このようになりますね。
宮田部長:
 そうか、まずは就業日数が重要になってくるのですね。
大熊社労士:
 はい、おっしゃるとおりです。就業日数が10日以下であれば、時間数は就業時間数は問題ないということになります。
福島さん:
 大熊先生、少し話しがズレるのかもしれないのですが、その就業日数って、どういう風にカウントするか確認しておいてもよいですか?ふと疑問に思いまして・・・。
大熊社労士:
 福島さんのことだから、もしかしたら、8月と9月が支給単位期間だったら・・・と考えたのですかね?
福島照美福島さん:
 はい、そのとおりです。例えば8月1日から8月31日の場合は、暦の日数が31日、それにお盆休みがあったりして、もともと会社の休日が多くなる月ですよね。一方、9月1日から9月30日は暦の日数が30日で、祝日はあるものの、祝日が出勤の会社を考えると、出勤日は多くなるなぁと思ったのです。
大熊社労士:
 そうですね。実は、暦の日数は関係なく、本当に働いた日数をカウントしてしまえば問題ありません。少しマニアックになりますが、今回の変更前・・・確か2012年3月31日までは支給単位期間に休業している日が20日以上でなければならないとなっていたのですが、これが改正され、働いた日数、つまり就業日数をカウントするように変更されたのです。
宮田部長:
 なるほど、そんな改正もあったのですね。
大熊社労士:
 はい。多分、福島さんが疑問を持たれたのは、育児休業給付申請書には「全日休業日数」という欄があるからなのではないかと推測します。働いた日を書くのではなく、休んだ日数を書いて支給申請をすることになっていますからね。
福島さん:
 そうなのです。
大熊社労士:
 就業した日がある人は、書き方がややこしいんですよね。実は、この申請書の様式も変更になるので、その点を次回、確認することにしましょう。
福島さん:
 はい、よろしくお願いします。

>>>to be con
tinued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は、2014年10月1日からの育児休業給付の変更点について確認しました。この就業した日および時間については、給付額が調整されるのではなく、一定以上の勤務がある場合には、支給されなくなるということがポイントになります。一時的に育児休業期間中に勤務が必要なケースもあるかと思いますが、このような給付のことも頭に入れて、就業日数や時間を考える必要があります。


関連blog記事
2014年9月2日「10月より大きく変わる育児休業期間中に勤務した場合の育児休業給付金」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52047978.html

参考リンク
厚生労働省「平成26年10月1日から育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の取扱いが変わります」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000042797_2.pdf

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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