今年の協会けんぽの料率変更はここに気をつけてくださいね

 大熊がいつもどおり服部印刷についたところ、目の前を宮田部長が通りすぎていく姿が見えたため、声をかけた。


大熊社労士:
 こんにちは。大熊です。
宮田部長:
 あ、大熊先生、お世話になります。どうぞどうぞこちらへ。
大熊社労士:
 ここのところ、気温の差が激しいですね。体調を崩されていませんか?
宮田部長宮田部長:
 はい、私は元気なのですが、福島さんがお休みでしてね。風邪を引いてしまったらしいのです。ゆっくり休むように伝えておきました。
大熊社労士:
 そうでしたか。今日は、協会けんぽの来年度の保険料率が決定したので、その案内をしようと思っていました。福島さんがいらっしゃらなくて残念です。
宮田部長:
 福島さんの分まで私がしっかり聞いておきますので任せてください!
大熊社労士:
 それは頼もしいですね!了解しました。それでは始めましょうか。以前、来年度の健康保険料率についてお話しましたが、覚えていらっしゃいますよね?
宮田部長:
 えっと、まだ決まっていないってことでしたよね。福島さんが、従業員向けに情報発信をしてくれたので、なんとなく覚えていますが…。
大熊社労士:
 詳細までは覚えていない、ですか!?(笑)それでは前回も説明したことを含めて、再度、確認していきましょう。まず、健康保険料率が決定しました。料額表はこちらのページからダウンロードできるようになっています。
宮田部長:
 ここの愛知県のところからダウンロードすればよいということですね。それで、新しい料率はやっぱり引上げになったのですか?
大熊社労士:
 いえいえ、前回ご説明したとおり、愛知県については今年度(平成26年度)から据え置きとなりました。現行の9.97%のままですよ。
宮田部長:
 あ、その話、聞きましたね。確か、介護保険料率は引下げの見込みだとかいうことじゃありませんでしたか?
大熊社労士:
 はい、介護保険料率は、現行の1.72%から1.58%に引下げられることになりました。この料率もポイントなのですが、さらに重要な点が、いつからこの料率が適用になるかということです。これも前回ご説明したのですが、例年より1ヶ月遅れて4月分(5月納付分)からの適用となります。
宮田部長:
 先生、前回、前回って指摘するなんて、人が悪いなぁ。これ、福島さんが従業員に案内した内容ですよね?
大熊社労士:
 これは失礼しました(笑)。おっしゃるとおり、案内した内容です。宮田部長は給与計算のソフトの変更時期を間違えないように、福島さんに確認してあげてくださいね。さて、もう一つ説明しておかなければならないことがあります。健康保険料率に変更はないとお伝えしたのですが、正確に言うと若干の変更があります。
宮田部長:
 え?どういうことですか?
大熊社労士:
 はい、先ほど案内した9.97%というのは、2つ保険料率から成り立っているのですよね。具体的には「基本保険料率」と「特定保険料率」の2つです。
宮田部長:
 「基本保険料率」と「特定保険料率」!?
大熊社労士:
 はい、「基本保険料率」とは、協会けんぽの加入者に対する医療給付、保健事業等に充てるための保険料率のことで、「特定保険料率」とは、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金及び病床転換支援金等に充てるための保険料率のことです。
宮田部長:
 なんか難しいですね。まぁ、分かれているってことですね。ただ・・・私の給与明細には、健康保険料の額は1つしか書いてありませんよ。どうして大熊先生は内訳の説明をされたのですか?
大熊社労士:
 それは、特定保険料率という後期高齢者への支援等に関する理解を被保険者の人にも理解してもらいたいという意図から、給与明細等に表示して周知してくださいね、と協会けんぽ側は案内しています。ただ、義務ではないので、御社のように一本で表示している企業も多いというのが現状ですね。
宮田部長:
 え!そうだったのですか!?それは知らなかった。それで、内訳はどのように変更になるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、基本保険料率が5.90%から6.14%へ、特定保険料率が4.07%から3.83%になります。協会けんぽの加入者に対する医療給付も増えているということなのでしょうね。
宮田部長:
 なるほど。給与明細への表示は、1本のままにしておこうと思いますが、内訳があって変更になるんだよ、ってことは、福島さんに説明して、周知してもらう文書を作ってもらうことにします。それにしても奥が深いなぁ。
大熊社労士:
 そうですね。あ、それからもうひとつだけ。これは給与明細等とは関係ありませんが、名称の変更になった保険料があります。
宮田部長:
 名称の変更ですか?
大熊社労士:
 はい、会社が全額負担をしているものに「児童手当拠出金」というものがあるのですが、これが4月から「子ども・子育て拠出金」という名称に変更になります。
宮田部長:
 「児童手当拠出金」と「子ども・子育て拠出金」!?
大熊社労士:
 あはは、先ほどと同じような反応ですね。児童手当の支給に要する費用等の一部として負担しているものですが、この名称が変更になるということです。まぁ、これはここまでにしておきましょう。
宮田部長:
 了解しました。福島さんに何か聞かれたときには、分かったような振りをして説明しておきます(笑)。
大熊社労士:
 いや、きちんと理解して説明してあげてくださいね(笑)。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は健康保険料率の変更について、すこし突っ込んで確認してみました。協会けんぽの各支部によっては、内訳のみでなく、健康保険料率そのものも変更になっていますので、確認をお願いします。なお、児童手当拠出金は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率(0.15%)を乗じて得た額が拠出金の額となっています。これは来年度も変更がないようです。


関連blog記事
2015年2月9日「平成27年度の健康保険料率の見通しを教えてください」
https://roumu.com/archives/65698225.html

参考リンク
協会けんぽ「平成27年度の協会けんぽの保険料率は4月分(5月納付分)から改定されます」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3130/h27/270228
協会けんぽ「平成27年度保険料額表 」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h27/h27ryougakuhyou
協会けんぽ「協会けんぽの特定保険料率及び基本保険料率(保険料率の内訳表示)について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/1936-295

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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