宮田部長!酒酔いでの自転車運転等は取り締まりの対象ですよ!

 服部印刷に到着した大熊は、正門を通り、駐車場に向かった。そこには従業員のものと見られる自転車が数多く並べられていた。


福島照美福島さん:
 大熊先生、先日、インターネットのニュースで自転車に関するルールが変わったという記事を見ました。当社従業員の中には、通勤で自転車を利用している人も多いので、何らかの情報提供をしておいたほうがよろしいですか?
大熊社労士:
 先ほどこちらに伺うときに自転車置き場を拝見し、私もちょうど気になったところでした。実は私も、事務所の近くのお客様のところに行くときは自転車に乗るので、注意しなくてはと思っていたのですよ。
宮田部長:
 大熊先生が自転車ですか?なんか意外な感じがしますね。それで、どのようなルールになったのですか?
大熊社労士:
 はい、自転車運転で危険な行為をすると、自転車運転者講習を受講しなければならないという制度ができました。これは道路交通法の改正によるものです。
福島さん:
 危険行為ですか、具体的にはどのような運転が該当するのですか?
宮田部長:
 飲酒運転とか?自転車で飲酒も何もないですよね、ははは。
宮田部長!酒酔いでの自転車運転等は取り締まりの対象ですよ!大熊社労士:
 いえいえ、まさに飲酒運転も危険行為の一つとされています。実は、危険行為として14の類型にまとめられています。これは、こちらの資料の2枚目にある通りですが、分かりづらいので、もう少し噛み砕いた表現で説明するとすれば、以下のようなものが代表的な危険行為となります。
・信号無視
・遮断踏切立入り
・指定場所一時不停止等
・歩道通行時の通行方法違反
・制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
・酒酔い運転
宮田部長:
 指定場所一時不停止等ってことは、「止まれ」の標識があるところで止まらないとかですか?自動車の運転では注意していますが、自転車はあまり意識していないなぁ。でもどうやって、違反があった場合に講習を受けることになるのですか?
大熊社労士:
 そうですよね、疑問に感じますよね。実は、自動車と同じように違反切符が切られるのです。それが繰り返されると、講習の受講が必要になるのです。
宮田部長:
 ええええ!違反切符ですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい。もう少し正確にお話すると、違反切が3年以内に2回以上切られた場合、都道府県公安委員会がその自転車運転者に講習を受けるように命令します。3ヶ月以内の受講が必要となり、仮に受講しなかった場合には、5万円以下の罰金が科せられるのです。
福島さん:
 結構厳しい印象を受けますね。その講習はどれくらいの時間行われるのですか?
大熊社労士:
 3時間ですね。しかも講習手数料が5,700円必要となります。
宮田部長:
 3時間!しかも手数料なんかも支払うのですね。こりゃ、知らないと警察に文句を言う社員も出てきそうだ。
大熊社労士:
 そうですね。実際にどの程度、取締りが徹底されるのかはこれからの状況を見ていくことになりますが、実は、自転車の危険行為って本当に危険で大きなリスクを孕んでいるんですよね。だから、講習があるからとか、法律で決まったからとかではなく、自転車も車両であり、危険という認識を持つ必要があるのでしょう。
福島さん:
 確かにそうですね。以前、自転車で交通事故を起こすと、多額の損害賠償が必要になるケースもあると聞いたことがあります。そこで私は自転車に関しても保険に加入しています。
大熊社労士:
 さすがですね。今回の改正をきっかけに、自転車通勤のルールを定め、保険加入も勧めたほうがよいのでしょうね。そしてその前に、改正の周知ですね。宮田部長のように、自転車なら飲酒運転も問題ないって思っている人が多いと思うので(笑)。
宮田部長宮田部長:
 実は今日、飲み会があって、自宅から最寄り駅まで自転車で来たから、どうしようかって思っていたところでした。大熊先生にこの話を聞いた今日、つかまったり、交通事故を起こしたりしたら、それこそ大問題なので、歩いて帰ろうと思います。
大熊社労士:
 そうですね。
福島さん:
 部長、今日だけではなく、今後もダメですよ!それから、一旦停止も忘れずにお願いしますね!
宮田部長:
 は・・・はい。
大熊社労士:
 ははは。従業員のみなさんにも周知をお願いいたします。

福島さん:
 はい、了解しました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回の改正について、警察庁からリーフレットも公開されています。多少、メディアで取り上げられてはいましたが、改めて、自転車通勤者に周知徹底をしておきましょう。


関連blog記事
2015年5月25日「6月から自転車危険運転の取り締まりが強化 求められる従業員への教育」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/44130739.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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