平成25年度は労働基準監督署の調査が全国で178,133件ありました
9月は社会保険労務士としては、業務が落ち着く時期。のんびりした気分で服部印刷に到着した大熊を待っていたのは服部社長であった。
大熊社労士:
こんにちは。今日は服部社長にもご同席いただけるのですね。ありがとうございます。
服部社長:
私が聞きたいことがあって、大熊さんがお越しになる日程を確認したのですよ。その聞きたい話というのが、労働基準監督署の調査についてなんですけどね。
大熊社労士:
労基署の調査ですか?
服部社長:
えぇ。知り合いの会社に調査が入るってことで、連絡があったらしいのです。そういえば、当社でも長い間、調査が行われていないなと感じていて。実際にどの程度、調査が行われているものなのですか?
大熊社労士:
はい、平成25年度の実績で言うと、全国で178,133件でした。
宮田部長:
17万件!すごい数ですね。やっぱり、従業員が駆け込む、なんて案件が多いのですか?
大熊社労士:
確かに17万件と聞くと、すごく多く感じますよね。労基署の調査は3つに分かれています。定期監督等、申告監督、そして再監督です。宮田部長がいま、おっしゃった労働者が労基署へ「駆け込む」という話ですが、これはの申告監督に該当します。これは23,408件。全体の13%強です。多いと感じるかどうかは難しいところですが、個人的には、まぁ少ない方かなぁというところでしょうか。
服部社長:
私も少ないという印象を受けますね。というよりも、駆け込んだわけではない調査がかなり多いという印象ですね。
大熊社労士:
そうですね。労働基準監督官は、定期監督として、毎月一定の計画に基づいて実施する監督があります。また、一定の重篤な労働災害、または火災・爆発等の事故について、発生直後にその原因究明及び同種災害の再発防止等のために行う監督もあります。これが定期監督等として先ほど数字を挙げました。
服部社長:
なるほど。で、再監督というのが、一度、入った調査の続きですかね。
大熊社労士:
そうですね。再監督は、定期監督、申告監督の際に法違反を指摘した事業場のうち、一定のものについて法違反の是正の有無を確認するために行う監督です。これが残りの14,226件です。約8%なので、多くは、1回の調査で終わっているということでしょう。
福島さん:
大熊先生、その調査で、どのくらいの指摘を受けるのですか?何の根拠もないのですが、20%くらいですか?
大熊社労士:
はい、その結果も出ているのですが、平成25年度は、定期監督等140,499件のうち、何らかの法違反があったものが、95,550件だったそうです。違反率は68%という高い数値となっています。
服部社長:
68%ですか?かなり高いですね。
大熊社労士:
確かにそう感じますよね。内容としては、労働基準法第32条および第40条の労働時間に関する違反がもっとも多くなっています。その後は、割増賃金の関係、労働安全衛生の安全基準や労働安全衛生規則の関係あたりが多くなっていますね。もちろん、法違反はなくすべきですが、すべての法律を完璧に網羅するのはなかなか困難なことです。そう考えると、68%というのも分かる気がしますね。
服部社長:
確かにそうですね。雇用形態が複雑になったこともあるのでしょう、最近は法律の改正も幅広く、頻繁な気がしますしね。
大熊社労士:
都度都度、情報を入手し、対応を進めていく必要がありますよね。あとは仮に労基署の調査で法違反等が指摘された場合には、その指摘事項に正しく、早く対応をしていくことが重要です。
宮田部長:
なるほど、そうですね。でも・・・うちの会社はもっともっと、なが~く労働基準監督官がやって来ないことを願っています。
大熊社労士:
あはは、そうですね。調査に来なくてもしっかりやっている会社ということで、対応していきましょうね。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。労働者の「駆け込み」である申告監督ですが、最も多い案件は、賃金不払であり、25,118件。実に新規受理件数の85.7%を占めています。次いで解雇の4,691件(同16.0%%)の順になっています。
参考リンク
厚生労働省「労働基準監督年報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kantoku01/
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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