標準報酬月額の等級が追加されますから、社長の健康保険料の変更を忘れないでくださいね

 今回も助成金の話をしようかな、と思いながら服部印刷に向かった大熊は、ふと、「標準報酬月額の変更について説明しないと」と思い返し、その話題に触れることとした。


大熊社労士:
 こんにちは。もう3月中旬、花粉症でつらいという人が多くなってきましたね。
宮田部長宮田部長:
 そうですよね。うちも苦しんでいる従業員がいますよ。最近は花粉症用のいいメガネがあるとか、みんなで情報交換をしているようです。さて、今日も助成金の話でしたよね?
大熊社労士:
 その予定でしたが、今日は少し社会保険の話をしておきたいと思います。というのも、以前、4月から社会保険の標準報酬月額の等級が追加されるというお話をしていましたよね。この詳細を伝えなければと思っていたのです。
宮田部長:
 あぁ、給料が高い人は、健康保険料の負担が増えて、お小遣いカットになるっていう悲しい話ですね。
福島さん:
 お小遣いカットは宮田部長の話ですよね(笑)。大熊先生からお話を伺ったときに、当社でも社長が該当するだろうなぁ、と思っていたところでした。
大熊社労士:
 そうですか。さすが、福島さん!お小遣いカットの印象の宮田部長とは違いますね(笑)。この件については4月から対応が必要となります。
福島さん:
 ふふ。でも、部長ちゃんと覚えていらっしゃいましたね。
宮田部長:
 そりゃ、お小遣いカットは深刻な問題ですから・・・っていつまでもお小遣いの話をしていても進みませんね。
福島照美福島さん:
 そうですよね。大熊先生、先ほどおっしゃったように、やっぱり4月から対応が必要なのですか?というのも、現在既に被保険者の人は来年度の算定基礎からの変更かなぁとか勝手に思っていたのですが・・・。
大熊社労士:
 確かに迷うところですよね。実は、4月から新しい等級に該当するかを確認することになります。
宮田部長:
 でも、どうやって確認するのですか?だって、社長は一番高い等級で、「1,210千円」ということだけのことですよね?あれ?もしかして今年4月に支払われた給与で決定するとか?でも・・・1ヶ月分の給与のみで標準報酬月額を決定するのはおかしいか。
大熊社労士:
 結論としては、平成27年度の算定基礎やそれ以降の月額変更で改正後の新等級を決定することになっています。
福島さん:
 そっかぁ、届出を提出した際の実際の報酬月額に基づいて決めなおすということですね。
大熊社労士大熊社労士:
 おっしゃるとおりです。確かに標準報酬月額としては、「1,210千円」となっていますが、その等級を決めるためには、実際に支払った報酬があるので、そこまで遡れば、改正後も現在の最高等級に該当したままなのか、新等級の月額報酬に該当し新等級になるかが分かりますよね。
宮田部長:
 社長の役員報酬は150万円だから、そっか、平成27年度の算定基礎では、3ヶ月の平均も月額報酬150万円。そのために等級は「1,210千円」となっている。これが、改正後の月額表に当てはめると「1,390千円」になるということか。
大熊社労士:
 素晴らしい!その通りです。それと社長の役員報酬は近々で変更されていませんよね?
福島さん:
 はい、3年前の決算のときから変更なしです。ですので、月額変更も気にしないでよいということですよね。
大熊社労士:
 そうですね。ですので、社長は4月分の保険料から新しい等級に変更してください。実際には、5月分の給与で4月分の保険料徴収しているかと思いますので、変更タイミングとしては5月支給分給与からですかね?
福島さん:
 そうですね。間違えないようにします。ところで、年金事務所には何か届け出が必要なのですか?
大熊社労士:
 あ!大切なことを説明し忘れていました。この変更については、事業所で行なうのではなく、年金事務所が過去の算定基礎及び月額変更の記録を確認し、対象となる被保険者がいる事業所には、4月中に管轄の年金事務所から「標準報酬改定通知書」が送られてきます。そのため、標準報酬月額の改定に際して、届出は不要です。
福島さん:
 そうですか。よかった。それでは社長への報告と、給与計算での保険料変更を忘れずに対応しておきますね。
大熊社労士:
 よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は、来月からの標準標準月額の変更についてとり上げました。改定通知が届いた後は、該当
する被保険者への通知も必要になりますので、併せて対応をするようにしましょう。


関連blog記事
2015年8月10日「来年度より社会保険の標準報酬月額の等級が増えることになっています」
https://roumu.com/archives/65716022.html

参考リンク
日本年金機構「平成28年4月より健康保険・船員保険の標準報酬月額及び累計標準賞与額の上限が引き上げられます。」
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2016/201602/0208.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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