年次有給休暇の5日間強制取得という話はどうなったのですか?
もう夏のような暑さになり、暑がりの大熊は汗を拭きながら、服部印刷に到着した。
宮田部長:
おはようございます。大熊先生、今日も暑いですね。
大熊社労士:
はい、本当に苦手な季節になりました。クールビズの時代になって、多少は良くなりましたが、やはり暑いですね。
福島さん:
男性はスーツなので大変ですよね。私はあまり外出がないので、それほど気になりませんけど。
大熊社労士:
そうですね。私は公共交通機関での移動が多いので、暑さは堪えますよ。
福島さん:
大熊先生、今日は一つ確認したいことがあります。以前、年に5日間の年次有給休暇を強制的に取得させなければならないという話がありましたね。あの話って、結局どうなったのですか?もう施行になっているのですか?
大熊社労士:
その質問、本当に多いんですよ。少し前にテレビ番組でもその法律が通ったと放送されていたという話も聞いているのですが、実はそれは間違いで、実は法律は通っていません。
宮田部長:
えっ、そうなんですか?当社でもベテラン男性社員中心に年次有給休暇をあまり取得できていないのでどうしようかなと思っていたんですよ!
大熊社労士:
そうですよね。実はあの話はよく「残業代ゼロ」で話題になる労働基準法改正案の中の一つなのですが、その改正法はまだ成立していないのです。現在開会中の通常国会でも継続審議になっているのですが、各種報道によれば、選挙前ということもあり、この国会での成立は見送るようですよ。
福島さん:
そうだったのですね。少し安心しました。そうなるとこの話はこのままなくなってしまうのですか?
大熊社労士:
まだ具体的には分からないところもありますが、現在の政策の中で過重労働対策や両立支援は非常に重要な位置づけとなっていますから、どこかで法制化される可能性は高いと思います。通常国会を延長しない代わりに、臨時国会の召集を8月中旬に早めるという話もありますので、そこで審議されることになるでしょう。となると選挙結果にもよりますが、意外に早いタイミングで施行ということもあるかも知れません。
宮田部長:
そうなると、やはり年次有給休暇を取得できる体制を作っておかないといけないなぁ。まずは率先垂範ということで、今週末は3連休にしちゃおうかな?(笑)
福島さん:
まったくもう。もしお休みされるのなら、労働保険の年度更新を終わらせてからにしてくださいね。もう手伝いませんから!
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は年次有給休暇の5日強制取得の状況について取り上げました。この質問は多くの企業から本当に頻繁に聞かれるのですが、まだ法律は成立していませんので、現時点において対応する必要はありません。しかし、そう遠くない将来に施行される可能性は高いと言われていますし、それ以前に年次有給休暇が取れない企業は社員や求職者からも敬遠されることになります。働くときはしっかり働き、しっかり休むというメリハリのある職場を作っていきたいものです。
関連blog記事
2015年4月5日「改正労働基準法案閣議決定 早くも法律案を見ることができます」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52069471.html
(大津章敬)
当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。
最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu