[改正育児・介護休業法(1)]育児休業を取得できる有期契約の従業員の範囲が変更になります

 服部印刷に向かう大熊は、改めて今回の育児・介護休業法改正が、様々な場面で細かく変更されていることを思い出し、規程の修正が大変だなと感じていた。


大熊社労士:
 こんにちは。10月中旬になりましたので、今日から来年1月に施行される改正育児・介護休業法の説明をすることにしましょう。
宮田部長宮田部長:
 そうそう、対応しないといけないのですよね~。労働局から説明会の案内が来ていたのですが、日程の都合がつかず・・・大熊先生からしっかり教えていただくことにします。
大熊社労士:
 そうでしたか。それではますますしっかり説明しないといけませんね。
福島さん:
 大熊先生、今回の改正は介護に関することが中心なのですよね?
大熊社労士:
 えぇ、そうですね。ただ、育児に関する改正も行われますので、見落とさないようにしておかなければなりません。
宮田部長:
 え!そうなのですか?私はてっきり介護休業が3回取れることのみと認識していましたよ。これはしっかりと聞いておかないとな。
大熊社労士:
 そうですね。まず、育児休業に関してですが、目立つ改正はありませんが、地味に影響があると思われる改正が行われています。
宮田部長:
 地味に?
大熊社労士:
 はい。改正の対象となる人は、有期契約の従業員です。現在は有期契約の従業員のみなさんが育児休業を取得しようとする場合、法律上では、申出時点で以下の3点を満たしていなければなりません。
過去1年以上継続して雇用されていること、
子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること
子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
 これで行くと、例えば最長5年間の有期雇用としている人は、育児休業を取得できる期間がとても短くなります。
福島照美福島さん:
 妊娠・出産のタイミングにもよりますが、入社して、1年目に出産した場合には、に該当せず取得できないことが多く、逆に、4年目に出産した場合には、に該当し取得できず、5年目に出産した場合には、に該当せず取得できないということですね。
大熊社労士:
 そうですね。もちろん、最長の雇用契約期間を定めずに「更新することがありうる」としているケースも多いので、実際には有期雇用者であっても育児休業を取得できるケースも多々あったことが事実ではあります。そして、今回の法改正で、このからの要件が緩和され、以下の’と’に変更になります。
’過去1年以上継続し雇用されていること
’子が1歳6ヶ月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
宮田部長:
 かなりすっきりしたのですね。
福島さん:
 私も同じように感じました。変更後の内容を見ると、先ほどの5年の例は、1年目に出産した場合には、’に該当し取得できない。そして、3年6ヶ月後に出産した場合には’に該当して取得できないということになるのですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。ただ、’については、「契約更新することがありうる」というような表現では、「雇用契約がなくなることが明らか」とはいえません。どのような状況で契約しているのか、きちんと実態も含め、把握しておくことが大切です。
宮田部長:
 そうですね。トラブルになりやすいところでしょうから、弊社では該当する人は少ないですが、気をつけておきます。
大熊社労士:
 よろしくお願いいたします。ちなみに、同様の変更が介護休業についても行われました。具体的には、現在は以下のからになっています。
過去1年以上継続して雇用されていること
介護休業を取得予定日から起算して93日を経過する日より後も雇用継続の見込みがあること
93日を経過する日から1年を経過する日までの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
 これが、以下の’と’に変更になります。
’過去1年以上継続して雇用されていること
’介護休業を取得予定日から起算して93日経過する日から6ヶ月を経過する日までに、雇用契約がなくなることが明らかでないこと
 こちらも要件が緩和されましたのでご注意ください。
宮田部長:
 了解しました。いずれにしても、休業が取りたいのだけどと相談してきた従業員には、取得できるるかどうかをまずは確認してみるね、と回答してきちんと対応できるようにしておきたいと思います。
大熊社労士:
 そうですね。よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回から改正育児・介護休業法の説明をしていきます。今回説明した有期契約労働者の育児休業・介護休業については、取得範囲を育児介護休業規程等で定めているかと思いますので、修正が必要となる項目です。今回の改正で、修正点は多岐に亘るため、修正漏れのないように注意しましょう。


関連blog記事
2016年10月10日「育児介護休業規程(簡易版)の改正前後の内容が分かるwordファイル」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52115467.html
2016年9月28日「厚生労働省から公開された改正育児・介護休業法「平成28年改正法に関するQ&A」」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52114418.html
2016年9月6日「改正育児・介護休業法対応の規定例(簡易版)とあらましのダウンロードがスタート」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/2016-09-06.html
2016年8月3日「遂に公開された改正育児・介護休業法の参考資料」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52110344.html
2016年6月28日「厚労省から改正育児・介護休業法の概要リーフレットが公開されました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52107710.html

参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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