今年の社会保険算定基礎届での変更点はありますか?

 梅雨に入り、いよいよ労働保険年度更新・社会保険算定基礎もラストスパートだなと感じていた大熊であった。


大熊社労士:
 宮田部長、腰の状態はいかがですか?
宮田部長宮田部長:
 はい、おかげさまで何とか普通に生活できるようにはなりましたが、無意識に痛めた場所を庇ってしまうのでしょうね。痛めた箇所とは別の、変なところが痛くなったりしていますよ。
大熊社労士:
 あー、それ、分かります。私も昔、ぎっくり腰になったことがあって、しばらくは同じような感じでしたから。
福島さん:
 もう2人ともおじいさんみたいな会話になってますね。そろそろ、仕事の話にしますよ(笑)
大熊社労士:
 はい、了解(笑)。で、今日はなにかありましたでしょうか?
福島さん:
 大熊先生、もうすぐ算定基礎届の提出をしなくてはいけないですね。今年は去年から何か変わったところはありますか?
大熊社労士:
 御社では、特に変更点はないですね。去年と同じように書類を作成してもらって大丈夫ですよ。
福島さん:
 当社は変更なし?ということは、他の会社では、変わったところがある…?あっ、500人を超える社会保険適用拡大の会社のことですね!
大熊社労士:
 さすが、福島さん、察しがいいですね。去年10月から社会保険の適用が拡大された「特定適用事業所」では、いろいろと気を付けなければいけないことがあるんですよ。
福島さん:
 そうなのですね。ちなみにどういった点について注意が必要になるのですか?
大熊社労士:
 はい。特定適用事業所では、「短時間労働者」という被保険者の種類があります。短時間労働者は、去年10月から被保険者となった、働く時間が正社員に比べて4分の3未満の人のことをいいます。
宮田部長:
 そうそう、労働時間が4分の3未満であって、週20時間以上の人で、確か、お給料の額が、8万…。
大熊社労士:
 88,000円以上の人です。他に1年以上の雇用見込み等の要件はありますが、その短時間労働者については、算定基礎届に書く基礎日数は11日以上を対象とすることになります。
福島照美福島さん:
 へえ~、11日以上が対象となるのですか。ん?11日以上って、どこかで聞いたことがあります…。あっ、雇用保険の離職票を書くときの、被保険者期間、賃金額の対象となる基礎日数と同じですね。
大熊社労士:
 福島さん、やりますね。社会保険の短時間労働者の基礎日数は、雇用保険の離職票の基礎日数と同じと覚えれば、覚えやすいですね。
福島さん:
 当社のパートさんの場合、4月~6月の3ヶ月とも17日未満であったときには、15日以上働いた月があれば、15日でみるという取り扱いは、どうなるのですか?
大熊社労士:
 そこは、特定適用事業所であっても、そうでなくても、従来通りの取り扱いで変更はありません。ですから、特定適用事業所である場合、3種類の取り扱いがあるということになります。正社員は17日以上、4分の3以上のパートさんは原則17日以上、3ヶ月とも17日未満の場合には、15日以上でみる。そして4分の3未満の短時間労働者は11日以上でみる、ということになります。
宮田部長:
 うわ~、ややこしい。そうするとパートさんは、誰が4分の3以上で、誰が4分の3未満か、ちゃんと判ってないとダメということですね。
大熊社労士:
 そうなんです。そして、4分の3未満の短時間労働者の基礎日数は、17日以上勤務した月があったとしても、最初から11日以上の月でみる、というところがポイントになります。
福島さん:
 そうすると、15日以上でみる特例は、4分の3以上のパートさんのみ適用されるということになるのですね。
大熊社労士大熊社労士:
 その通りです。福島さん、去年、パートさんの算定基礎届の備考欄に、パートさんは、「パート」と記載したと思いますが、特定適用事業所の場合は、4分の3以上か4分の3未満が分かるように、4分の3未満の短時間労働者は、「短時間」と書かなければいけません。
福島さん:
 パートさんはみんな、「パート」と書いてはいけないんですね。
宮田部長:
 う~ん、うちは特定適用事業所じゃないけど、将来的に適用拡大となると、頭が痛いな…。
大熊社労士:
 そのときには、またフォローしますよ。安心してください。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。特定適用事業所にとっては、法改正後初めての「算定基礎届」の提出となります。被保険者の種類に応じて支払基礎日数の取り扱いが異なりますので、注意が必要です。正社員と4分の3以上パートの取り扱いは従来通りですが、4分の3未満の短時間労働者は11日以上が対象となります。短時間労働者の支払基礎日数は、17日や15日の特例を使用せず、最初から11日以上の期間が対象月となります。


参考リンク
日本年金機構「定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行うとき」
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141225.html

(小浜ますみ)

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