2018年4月より障害者の雇用率が2.2%に引き上げられます

 来春より障害者の法定雇用率が引き上がることが決まった。そこで大熊はその説明をしようと服部印刷を訪ねた。


大熊社労士:
 こんにちは。今日は障害者の法定雇用率が上がることが決まりましたので、そのご説明に来ました。
福島さん:
 暑い中、ありがとうございます。
服部社長服部社長:
 そうそう、以前、大熊さんに話を聞いて以来、うちの会社もそろそろ障害者を雇用しなければならなくなるだろうと、ずっと引っかかっていたのですよ。それで、どれくらいの率になったのですか?
大熊社労士:
 はい、民間企業については2018年4月から2.2%に引き上げられますので、確かにいよいよ御社も対象になってきます。
服部社長:
 なるほど。+0.2%の引き上げで落ち着きましたか。思ったより少ないように感じますね。
大熊社労士:
 確かに今回から、法定雇用率を算出する際、算定基礎の対象として身体障害者、知的障害者の他に、精神障害者も追加して算出することになりましたので、もっと上がるのではないかという話もありました。ただ、2021年4月になるまでには、更に0.1%引き上げられ2.3%になることが決まっています。
福島照美福島さん:
 そうなのですね。2.2%であれば45.5人に1人、2.3%であれば43.5人に1人、障害者を雇用することになるのですね。うちの会社、いつも従業員数が50名前後で推移していて、障害者の雇用についてはギリギリ雇用義務なしとなっていましたが、来春にはいよいよ障害者の雇用が必要になりそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。御社のように新たに障害者の雇用が1名となる会社、そして、法定雇用率の引き上げで障害者の雇用者数が増える会社の影響は大きいと思います。なお、現在、従業員50人以上の事業主が、毎年6月1日現在の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりませんが、2018年4月からは、当然、45.5人以上の事業主へと範囲が広がることになります。
服部社長:
 当社でも、まずは雇用を進めるとともに、報告も忘れずに行うことがポイントになりそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。2.3%の引き上げの時期については、また決定したらご案内することにしますが、いずれにしても積極的な採用に取り組んでいただくことが、社会的な責任という意味でも求められます。
宮田部長宮田部長:
 ところで、大熊先生。先ほど、精神障害者の話が出ましたが、確か「精神障害者を雇用しなさい」ということではなかったですよね?
大熊社労士:
 よく覚えていらっしゃいましたね。今回の改正は、精神障害者を法定雇用率を算出する際の対象に含めるようになったということであって、精神障害者を雇いなさいというものではありません。
服部社長:
 なるほど。ただ、知り合いの会社でも、身体障害者を雇用しようと思って活動していても、なかなか身体障害者で働いてもらえそうな人がいないと言っていましたよ。しかも複数の会社で。
大熊社労士:
 そうなのです。昨年の障害者雇用についても過去最高を更新する一方、身体障害者だけを見ると、就職件数が減少しています。それだけ、雇用の対象となる身体障害者が減っているということなのだと思います。
服部社長:
 そんな状態なのですね。であるとすれば、今後は知的障害者や精神障害者の雇用を検討していかなければ、十分な数の障害者の雇用ができないことになるのでしょう。
大熊社労士大熊社労士:
 それは間違いありません。障害者雇用について、特に、精神障害、発達障害を持っている方とどう一緒に働いていったらよいか分からない会社は多いと思います。そこで、厚生労働省では、「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を、2017年秋から始めることにしています。精神・発達障害者についての基礎知識や一緒に働くために必要な配慮などを短時間で学べる講座です。これがその資料になります。
宮田部長:
 社長の話からすると、うちの会社も身体障害者のみでなく、精神障害者等についても雇用することを検討しなければならなさそうですね。一度、福島さんと二人で参加してみようかな?
福島さん:
 はい、ぜひ。
大熊社労士:
 講座の問い合わせ先は、「全国都道府県労働局職業安定部職業対策課」になりますので、問い合わせしてみてください。私も新しい情報が入りましたら、お知らせします。
宮田部長:
 よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。2018年4月より障害者の法定雇用率が2.2%へ引き上がります。そして2021年4月までに、更に2.3%へ段階的に引き上がることとなっています。障害者雇用については、各障害の特性も異なることから、一定の基礎知識を持ち、共に働く上での配慮をすることも必要です。精神・発達障害者の雇用も年々増えてきていることから、2017年秋より、厚生労働省では「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を始めます。精神・発達障害者と共に働く職場環境作りのために、講座を利用してみてはいかがでしょうか。


関連blog記事
2017年7月10日「ハローワークを通じた障害者の就職件数が過去最高に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52132243.html
2017年5月31日「障害者法定雇用率は2018年4月に2.2%、その後、更に2.3%へ引き上げへ」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52130528.html
2017年7月17日「平成29年秋 精神・発達障害者しごとサポーター養成講座が始まります!」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51479787.html
2015年2月2日「精神障害者の雇用が義務化されるのですか?」
https://roumu.com/archives/65694365.html

参考リンク
厚生労働省「障害者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu