学生バイトを雇うときにはどのような点に注意が必要ですか?

 服部印刷では、一時的に受注が集中したため、短期的にアルバイトを雇うこととした。


宮田部長:
 先生、先日から短期的に受注が集中しているので、アルバイトを雇うことにしました。
大熊社労士:
 おや、それは嬉しい悲鳴ですね。もう面接はされたのですか?
宮田部長:
 はい、2週間前に面接して、2ヶ月弱、夏休みの期間を中心に来てもらおうと思います。
大熊社労士:
 大学生ですか?高校生ですか?
宮田部長宮田部長:
 大学生2人です。工場で製本作業を手伝ってもらうのですが、いまのところ、週3日の勤務を予定しています。アルバイトを雇ったのは、ずいぶん前のことなので忘れてしまったのですが、何か注意しなければいけないことはありましたか?
大熊社労士:
 基本的な考えは、アルバイトであっても一人の労働者であるということです。ですので、労働条件はきちんと書面で渡すといったことになります。その際ですが、未成年者であっても労働契約は、本人と結ぶことになっています。親や後見人と結ぶことにはなりません。
福島さん:
 はい、労働条件通知書は準備しています。
大熊社労士:
 今回は大学生であり、18歳以上なので問題はありませんが、18歳未満のアルバイトであった場合は、残業や休日労働はさせることはできません。また、安全上危険な業務や衛生上有な業務などをさせてはいけないと制約も設けられています。
宮田部長:
 えっ?18歳未満というと、高校生は残業はさせてはいけなかったのでしたか?忙しいので、ひょっとしたら、1日8時間を超えて残業になることもあるかも知れないのですが、大学生であれば大丈夫ですね。高校生であれば、大学生よりも時給を低く設定できるかなとも思いましたが、大学生にしておいてよかったです。
大熊社労士:
 そうですね。特に夏休みが中心ということですので、1日8時間を超えても学業に影響はないのではないかと思いますし、大学生でよかったのかなと感じます。あ、残業させることはできますが、当然、残業時間数は36協定で定める範囲内であることや、割増賃金の支払いも必要であることに変わりはありませんので、間違った認識にならないようにしてくださいね。
福島照美福島さん:
 はい、給与計算のときに注意すると共に、現場にも注意喚起をしておきます。
大熊社労士:
 そうですね。最近は「ブラックバイト」と呼ばれ、最初に合意した以上のシフトを入れたり、一方的に急なシフト変更を要求したり、更には長時間働かせて割増賃金を支払わなかったり、という会社もあり、問題となっています。もちろん、まずはそのようなことが起こらないように注意することが必要ですが、それには現場の協力が必要ですからね。
宮田部長:
 確かに実際に仕事を指示するのは現場ですからね。
大熊社労士:
 ちなみに、厚生労働省は今月末まで学生向けに「アルバイトの労働条件を確かめよう」キャンペーンを実施しています。
宮田部長:
 それはどのようなキャンペーンなのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、数年前から実施されていて、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月に大学等と連携して、アルバイトのトラブル事例のポスターを構内に掲示したり、リーフレットを配布したり、また、都道府県労働局職員の出張相談も行ったりしています。学生側もあらかじめ必要な知識を持つことでトラブルを避けようということが狙いです。学生側には、労働法クイズとして何問正解できるかなどのパンフレットを作成していますし、事業主側には、「アルバイトの労働条件に関する自主点検表」を作成し、自社の労働条件の確認を促しています。
福島さん:
 そんなパンフレットとか自主点検表が出ていたのですね。
宮田部長:
 確かに学生自身も知識をしっかりと持つことって重要ですよね。・・・という私もまだまだ勉強の身ですが。
大熊社労士:
 労使双方が知識を持って、しっかりと働き・働かせ、賃金をもらう・払うという当たり前のことができれば、トラブルは防止できると思っています。今後もしっかりやっていきましょう。
宮田部長:
 わかりました。工場の責任者にも伝えておきます。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。厚生労働省では、数年前からいわゆる「ブラックバイト」撲滅のために、「アルバイトの労働条件を確かめよう」キャンペーンを実施しています。過去には高校生や大学生のアルバイトの意識調査を行い、その調査結果を踏まえて、アルバイトをする学生側にも予め働くことの知識を得てもらうための啓蒙活動をしています。学生アルバイトは学業と仕事の両立への配慮が必要であり、学業が本分となります。会社は両立ができるように適切な労務管理を心掛けることが必要です。


参考リンク
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158976.html
確かめよう労働条件「アルバイトを雇う際に確認するポイント」
http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/parttime/index.html

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu