残業の申請・承認制は労働時間管理の最低条件です

 働き方改革の中で関心が高まっているためだろうか、労働時間制度に関するトラブルや相談が多くなっている。今日も大熊は宮田部長からそんな相談を受けることになった。


大熊社労士:
 おはようございます!
宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。こんな台風の中、ありがとうございます。あらら、足元が結構濡れてしまっていますね。
大熊社労士:
 いやいや、大丈夫ですよ。でも今日は電車がなかなか来ずに少し大変でした。結果的にはお約束の時間ぴったりに到着したのでよかったです。
宮田部長宮田部長:
 さて、今日は早速ご相談があるのですが、よろしいでしょうか?相談というのは、残業の申請・承認制の件なのですが。
大熊社労士:
 なるほど。残業の申請・承認制はもう何年も前から行っていらっしゃいますよね。
宮田部長:
 はい、そうなのですが、お恥ずかしい話、部門によってそれが徹底されているところと、そうでないところがあるのです。最終的な労働時間はタイムカードでしっかり管理しているので不払いなどはないと思うのですが、1か月分まとめて申請・承認するような部門があって、どうしようかと思っているのです。
福島照美福島さん:
 そうなんですよね。管理職のみなさんも常に社内にいらっしゃる訳ではないですし、お忙しいですからどうしても日々承認を行うというのは大変だと思いますが、だからと言って、1か月分をまとめて承認というのでは行っている意味がないように思えます。
大熊社労士:
 確かにそうですね。私も自分の事務所では職員の申請を承認していますが、確かに面倒なのは間違いありません。でも、これは絶対に徹底しておく必要があります。
宮田部長:
 よく管理職からはこんなにも負担が大きいのに、なぜ申請・承認を行わなければならないのかと質問を受けるのですが、この点についてはどのように考えればよいのでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど。その答えはシンプルですよ。労働時間を管理するために、承認を行っているのです。特にホワイトカラーの仕事は目に見えないことがほとんどです。いまどのような仕事があり、それがどのような状態にあるのかは本人しかわからないというのが実態です。だから残業を行う場合には、その理由を含め、申請させ、どのように対応するのかを上司が判断する必要があるのです。
福島さん:
 対応について判断するというのはどういうことですか?
大熊社労士大熊社労士:
 そもそもその仕事を今日、残業して行う必要があるのか?明日に回すことはできないのか?ということがあるでしょう。本人の立場で考えれば分かりますが、翌日にはなにかトラブルが起きるかも知れないということを考えると、残業をしてでも前倒しで仕事を片付けておいた方が確実となります。しかし、それでは残業がどんどん膨れ上がってしまうので、判断をする必要があります。
福島さん:
 確かにありそうですね。
大熊社労士:
 一方で、どうしてもその日のうちに片付けておかなければならないという仕事もあるでしょう。その場合には、本人が頑張って片付けるというだけではなく、他の社員に手伝うように指示をするという選択肢もあります。上司としては残業の申請を受けた場合には、単に「できるだけ早く帰るように」と言って決裁するのではなく、そうした判断を行うことが重要なのです。
宮田部長:
 確かにそうですね。それができないと特定の社員に残業が偏り、長時間労働になってしまうリスクも高まります。
大熊社労士:
 よく「労働時間管理」と言いますが、それは労働時間を集計して、残業時間を計算することではありません。限られた時間の中で業務が円滑に回るようにするために、業務を管理することなのです。それを行おうとすれば、最低でも残業の申請・承認は確実に行っておかなくてはなりません。
宮田部長:
 よく分かりました。各管理職には改めてそのような意味を伝え、徹底したいと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今後、36協定の重要性は増すばかりです。予定通り法改正が行われることになれば、2019年4月からは労働時間の上限規制が始まります。それに先行し、2018年度には民間の活用による36協定の調査の強化も計画されており、今後、労働基準監督署による36協定の監督指導も強まることは確実です。また働きやすい環境の構築という点でも労働時間管理の重要性は増していますので、まずは残業の申請・承認制の徹底を行いましょう。

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu