パートタイマーの契約時間が変更となった場合は月額変更となるのですか?

 社会保険算定基礎届の提出時期が近づいてきていることから、大熊は服部印刷での作成状況を確認することにした。


大熊社労士大熊社労士:
 こんにちは。
福島さん:
 こんにちは、先生。
大熊社労士:
 福島さん、算定基礎届の作成は順調ですか?
福島さん:
 はい、作成は終了して、最終確認をしているところです。
大熊社労士:
 そうですか。さすが福島さん、早々と対応されていますね。
福島さん:
 ありがとうございます。実はその件に関して1点、先生に確認したいことがあるのですが…。
大熊社労士:
 はい、何でしょう?
福島照美福島さん:
 最近、受注が増えてきていることから、1人のパートさんに勤務時間を増やしてもらうことになりました。3月までの勤務時間は週30時間の契約だったのですが、4月以降は週35時間に変更となったのですが、ちょうど忙しい時期で残業もしてもらったので、4月~6月の支給給与がかなり増えてしまいました。でも、時給単価は変更ないですので、特に月額変更とはならないですよね?
大熊社労士:
 そうですか。4月~6月に支払われた給与で算出した標準報酬月額と、従前の標準報酬月額とは2等級以上の差があるのですか?
福島さん:
 はい、ちょうど2等級上がっています。
大熊社労士:
 なるほど。結論としては、月額変更届を提出することになります。
宮田部長:
 ええっ?時給単価の変更でもないのに月額変更となるのですか?  
大熊社労士:
 はい、時給単価の変更はなくとも、契約時間の変更があった場合は勤務体系の変更として固定的賃金の変動に該当し、月額変更の対象となるのです。
福島さん:
 そうなんですね。よかった、先生にお聞きして。そのまま算定基礎届として提出するところでした。そうすると、4月、5月、6月の3ヶ月間の支給額に基づき、7月の月額変更届として書類を作成しなければいけませんね。
大熊社労士:
 はい、算定基礎届と一緒に提出してくださいね。
宮田部長宮田部長:
 ふう~ん。パートさんの場合、勤務時間が変わったことでも月額変更の対象になるんだ。
福島さん:
 今後は、パートさんの勤務時間の変更時には、月額変更の対象となるかもチェックしていかなければいけないですね。
大熊社労士:
 そのとおりで、給与計算と算定基礎届のチェックシートにも、「パートの契約時間変更はなかったか」などの項目を追加し、忘れないようにチェックしてくださいね。
福島さん:
 はい、わかりました。
宮田部長:
 そういえば、4月に引越しをして、通勤手当がアップした社員がいましたね。
福島さん:
 はい、いました。4月の通勤手当は給与計算期間の途中で変更となりましたから、変更前、変更後の金額をそれぞれ按分して支払いました。5月から変更後の金額となっています。
宮田部長:
 ふむふむ。4月変更だから、その社員も7月の月額変更となりそうですか?
福島さん:
 宮田部長、その場合は、4月から起算するのではなくて5月から起算となりますので8月に月額変更を確認することになります!ですので来月7月の給与が支払われてからとなります。先生、それで間違いないですよね?
大熊社労士:
 はい、福島さんのおっしゃるとおりです(笑)。
宮田部長:
 ありゃりゃ~(苦笑)。月の途中で変更となった場合は、変更月から起算するんじゃないんだ。
福島さん:
 はい、そうです。完全に1ヵ月確定した金額が支払われた月から起算します。
宮田部長:
 知らなかったな~。
大熊社労士:
 あはは、これで宮田部長も月の途中で手当が変更となった場合の取扱いもマスターされたことですし、算定基礎届のチェック、しっかりお願いしますね。
宮田部長:
 は、はい…。わかりました(苦笑)。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。算定基礎届の提出時期となりました。4月に昇給する企業も多いと思いますが、その場合は算定基礎ではなく、7月月額変更に該当するかどうかの確認をしましょう。上記のように昇給だけでなく、パートタイマーの契約時間変更も月額変更の対象となりますので、手続きを漏らさないよう注意が必要です。今年から算定基礎届も新様式での提出となります。その他算定基礎届や月額変更届には、細かな運用がありますので、書類に同封さている案内や手引きをみて作成を進めましょう。


参考リンク
日本年金機構「平成30年度の算定基礎届の提出について」
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2018/201806/20180607.html
日本年金機構「月額変更届の提出」
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141104-02.html

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu