2019年4月に改定される新36協定届のポイントを教えてください
最近は本当に秋っぽくなってきたなぁと感じながら、大熊は今週も服部印刷の門をくぐった。
大熊社労士:
おはようございます。
宮田部長:
おはようござます、大熊先生。最近、急に涼しくなってきましたね。今年の夏は最高気温40度だとか、もうあり得ない暑さでしたから、我々のような暑がりにとっては大変な年でしたね。
大熊社労士:
本当にそうですね。やっとスーツのジャケットを羽織ることができる季節になりました。さてさて、秋ということは、その次は冬。そして冬が明けると春がやってきます。ここで質問です。春になるとどのようなことが起こるでしょうか?
宮田部長:
あらら、いきなりクイズですか。え~っと、春になると桜が咲いて、新入社員が入社し、歓迎会もしなくてはいけませんし…。
福島さん:
部長、たぶんそんな話ではないと思いますよ!大熊先生、来年の春といえば、やはり働き方改革関連法の施行ですよね。
大熊社労士:
さすが福島さん、空気を読んでいただき、ありがとうございます。桜を見ながらの酒盛りも楽しみではありますが、その前に働き方改革関連法の対策を済ませておかなければいけませんね。年次有給休暇の取得義務化については先週までにお話しましたが、来年4月からは36協定届の様式が変わります。
福島さん:
そうなんですね。それは実務への影響が大きいので、しっかりお聞きしなくては。
大熊社労士:
はい。それでは先日、政省令が交付されて新しい様式が確定しましたので、それに基づき、ご説明しましょう。できれば実際の様式を見ていただきながらの方がよいと思いますので、以下で新しい様式の記載例をダウンロードしてみてください。
関連blog記事
2018年9月17日「36協定届の記載例(一般条項)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51538445.html
2018年9月18日「36協定届の記載例(特別条項)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51538446.html
福島さん:
あれ、2つあるのですか?
大熊社労士:
そうなのです。今回から36協定届は、特別条項がない場合とある場合で様式が変わることになりました。まあ、現実的には限度時間内の協定をする部分については同じですので、特別条項を定めるページが追加になっているというイメージです。
福島さん:
なるほど。当社の場合は特別条項を定めていますので、様式第9号の2の方になりますね。
大熊社労士:
そうですね。それでは特別条項のある様式第9号の2を用いて、新しい様式のポイントについてお話しましょう。まずはなんと言っても特別情報を定める場合のページが追加されたということです。
宮田部長:
以前は欄外に極小フォントサイズで無理やり記載していたりしましたからね。
大熊社労士:
そうですね。それだけ今回の法改正で特別条項が大きな課題と認識されているということでしょうね。年間720時間の上限というのも結局は特別条項に対する規制なのですから。さて、それでは1ページ目から見ていきましょう。まずは右上に労働保険番号と法人番号を記入する欄が追加されたり、延長することができる時間数の欄に任意ではありますが、所定労働時間を超える時間数を協定することができるようになっています。また今後は3ヶ月120時間といった限度時間が廃止され、1ヶ月と1年に統一されることになったことから、延長することができる時間数は1日、1ヶ月、1年と最初から決め打ちされています。
福島さん:
あ、ほんとですね。もっともこのあたりは特に当社には影響はなさそうです。
大熊社労士:
そうですね。1ページ目でもっとも大きな変化は表の一番下の段になります。「上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満で
なければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。」という欄が設けられ、チェックボックスにチェックを打たなければ監督署は受理しないということになりました。
福島さん:
なるほど、この部分は法定休日労働を合算して時間数を把握するので、このようになったのですね。
大熊社労士:
そのとおりです!さすがです。それでは2ページ目の特別条項の方にいきましょうか。こちらは様式をご覧いただくと分かると思いますが、完全に新しい様式となります。基本は業務の種類別に、臨時的に限度時間を超えて労働させる事由を明確にし、その延長時間を協定することになります。
宮田部長:
なるほど。従来ですと、特別条項は業務の種類別には分けずに、一本で協定するようなケースが多かったと思いますが、それを細かく設定することになるのですね。でも、内容自体がそれほど変わらないように思いますが。
大熊社労士:
はい、そうですね。その下に「限度時間を超えて労働させる場合における手続」の欄ができており、労働者代表との協議だとか通知といった手続きを定めることになりますが、そこも内容自体は変わっていません。新たに追加されるのはその下の「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
、いわゆる健康確保措置です。
福島さん:
これが今回の法改正の目玉の一つですよね?
大熊社労士:
はい、そうです。ここには別に定められている10個の選択肢の中から、実施する健康確保措置の「該当する番号」とその「具体的内容」を記載することになります。
福島さん:
その選択肢というのはどのようなものですか?
大熊社労士:
はい、今日は時間も長くなったのでこれくらいにし、それについては次回お話しましょうか。
福島さん:
分かりました。次回もよろしくお願いします。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は2019年4月から改定される新しい36協定届の内容について取り上げました。記載事項が増え、多少煩雑になるかも知れませんが、協定すべき内容がより明確になっているので、分かりやすさは増すように思います。それでは次回は注目の健康確保措置について取り上げます。
関連blog記事
2018年9月13日「新36協定届の記載例が掲載されたリーフレット等が公開されました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52158059.html
2018年9月11日「2019年4月改正の新36協定・フレックス協定の新様式(Word形式)ダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52157910.html
2018年9月8日「働き方改革関連法の政省令が公布されました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52157723.html
参考リンク
厚生労働省「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
(大津章敬)
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