36協定を破棄して、再締結することはできるのですか?

 1月も下旬に入り、時が過ぎる早さを感じる大熊であった。


大熊社労士:
 おはようございます。先日、新年を迎えたと思ったら、もう1月21日ですよ。あっという間に時間が経ちますね。
宮田部長宮田部長:
 本当にそうですね。この調子で時間が経過するとあっという間に定年になりそうです。そろそろ老後の過ごし方も考えておかないといけませんね。
福島さん:
 部長、なに言ってるんですか。まだまだ仕事をして頂かないといけませんしね。それに部長が定年を迎えられる頃には、70歳までの継続雇用になっている可能性が高いですから!
宮田部長:
 あ~、そうかも知れないね。なかなか隠居させてもらえない時代だなぁ。さてさて、福島さん。今日は大熊先生に確認することがあったね。
福島さん:
 そうなんです。36協定に関することなのですが…。
大熊社労士:
 はい、どのようなことでしたでしょうか?
福島照美福島さん:
 現在の36協定は4月1日から翌年3月31日の1年間で締結しているのですが、今後、年間カレンダーを決算期にあわせて作成しようと考えていますので、36協定の期間もこれに合わせたいと思っています。
大熊社労士:
 なるほど、決算期ということは10月1日から9月30日ということですね?
福島さん:
 はい、そうです。
大熊社労士:
 結論としては基本的には難しいのです。というのも通達(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について 基発1228第15号 平成30年12月28日)で、以下のように示されています。
「時間外労働の上限規制の実効性を確保する観点から、法第36条第4項の1年についての限度時間及び同条第5項の月数は厳格に適用すべきものであり、設問のように対象期間の起算日を変更することは原則として認められない」
福島さん:
 あぁ~、そうなんですか。
大熊社労士大熊社労士:
 そうなのです。ちなみにこの通達では、複数の事業場がある場合の例外が定められています。
「複数の事業場を有する企業において、対象期間を全社的に統一する場合のように、やむを得ず対象期間の起算日を変更する場合は、時間外・休日労働協定を再締結した後の期間においても、再締結後の時間外・休日労働協定を遵守することに加えて、当初の時間外・休日労働協定の対象期間における1年の延長時間及び限度時間を超えて労働させることができる月数を引き続き遵守しなければならない」
福島さん:
 例えば、新しい事業所を設置し、そのタイミングで36協定の締結・届出を行った後、本社と期間を統一したいといった場合ということですね?
大熊社労士:
 そのとおりです。その場合には、新旧いずれも36協定の内容をクリアすることを条件に、再締結を認める内容となっています。
福島さん:
 ありがとうございました。よく分かりました。当社のケースではどのような運用を行うのか、再検討してみます。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。36協定の重要性はますます高まっています。実は今回のように36協定の期間を変更したいという相談は比較的よく受けています。今回、その取扱いが通達で明確にされました。ここで示された例外は複数事業場のケースに限られていますが、趣旨からすれば、脱法的な内容でなく、その必要性が高ければ認められる可能性があるのではないかと考えられます。現実にこのようなケースが発生した際には、所轄の労働基準監督署に相談されるのがよいでしょう。


関連blog記事
2019年1月8日「働き方改革関連法 改正労働基準法・改正労働安全衛生法等のQ&Aが掲載された通達が発出!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52164368.html

参考リンク
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(基発1228第15号 平成30年12月28日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

(大津章敬)

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