労働条件の明示をメールやLINEでできるようになったのですか?
今週からは4月。新元号も今日のお昼前に発表もされるということで、気分一新だと感じながら、大熊は服部印刷に向かった。
宮田部長:
大熊先生、そういえばうちの妻がパートに出ることになりました。扶養の範囲内でぼちぼち働くわ~、なんてのんきに言ってますよ。
福島さん:
宮田部長の奥様ってずっと専業主婦だったのですか?なんだか優雅でいいなぁ。
宮田部長:
優雅・・・というか何だかなぁ。結婚前は働いていたし、結婚後は短期的なアルバイトはしたことがあったけど、今回のような話はなかったかな。というか、福島さんもそう思うんだね?
福島さん:
う~ん、いざ、自分が専業主婦になることになったら、多分、優雅じゃないなぁとか、つまらないって言うのだと思うのですけど、でも、専業主婦に憧れってありますよね。
大熊社労士:
確かにその感覚は男性である私もわからなくはないですよね。男性ってまだまだ一生働くという選択肢しかないという社会的なイメージがあるから、少し休んでみたいというような感覚もありますし。
福島さん:
そうなのですね。私の友人も感覚や考え方は様々であり、専業主婦で育児をしっかりやりたい、働いていたいから短時間勤務を利用して正社員を続ける、子どもが小さいうちは家庭に入り幼稚園に入園したらパートに出る、こんな感じですね。
大熊社労士:
そうですね。いろんな価値観があるので、何でなければダメとか、何がよいというのを決め付けず、個人の意思を尊重しつつ、その一方で労働力の減少等も身近な問題として考えていく必要があるのでしょうね。
福島さん:
そうですね。女性活躍ということをよく言いますが、単純に女性も働こう!管理職を目指そう!というのではなく、女性自身がそのように思えることを醸成しなくちゃいけないのかな、とも思います。あ!ごめんなさい、私が宮田部長の話をとっちゃいましたね。
宮田部長:
あはは。大丈夫、大丈夫。じゃ、私が聞きたい話に戻すと(笑)、妻の就職先から働く日や時間の情報は電子メールで送るから、って連絡がきたんです。大手のスーパーマーケットのストアで働くことになったから、やっぱり大手は電子化が進んでいるなぁとか思ったのですよね。
大熊社労士:
なるほど。それで、奥様は電子メールを受け取ったのですか?
宮田部長:
パソコンのメールはしないのですが、スマホは持っていて、それなりに使いこなしているようだから、そっちに送ってもらおうかな、と言っていましたよ。でも、メールとかで送ることって「アリ」なんですね。
福島さん:
それって、働き始めた後のシフト情報とかなのかしら?雇入れのときの労働条件の明示は、紙で行うことが原則ですよね?
大熊社労士:
はい。労働条件の明示は紙が原則です。ただし、この4月からの一部、電子メール等での明示も可能となりました。ただし、条件が2つあります。1つ目が、労働者が希望すること、2つ目が電子メール等の送信は印刷ができること、です。
宮田部長:
なるほど、じゃ、それですね。うちにプリンターがあるから、メールの内容を印刷できるわよね、と確認されましたから。
大熊社労士:
なるほど、それであれば労働条件通知書が送られてくる可能性が高いですね。
福島さん:
紙でやらなくちゃならないって思っていたので、少しびっくりしました。電子メールで送るとしたら、メールの本文に雇用契約期間とかを記載するのですか?なんだかすごい長い本文になっちゃいそうですね。
大熊社労士:
もちろん、それでもダメではありませんが、受け取ったほうも確認するのや、保管をするのがたいへんですので、例えば今使っている労働条件の通知書をPDFにして添付ファイルで送る方法とかが考えられますよね。
福島さん:
そっかぁ、確かにそうですね。
大熊社労士:
会社としては、従業員の希望の有無やメールアドレスの管理等のこれまでにはない手間が発生するかも知れませんが、例えば宮田部長の奥様の会社の場合、本部から契約更新の都度、一斉に送れば店舗の手間はなくなりますよね。
福島さん:
確かにそうですね。ただ、見ない人も出てくるかも知れないですけど、それは問題ないのですか?
大熊社労士:
もちろん、○月○日に送信しているから確認してね、と伝えたほうがよいですが、そこまでは義務ではありません。また、会社にメール見たかどうかの確認までは求められていません。会社としては送信して、メールアドレスの登
録ミス等により戻ってきていないかを確認することが重要になりますね。
福島さん:
うちのような正社員の中心の中小企業では活用の場面は少ないのかもしれないですが、非正規従業員を中心に入退社が多い会社の場合には活用できるかも知れませんね。
宮田部長:
そうだね。一度、妻のスマホにメールが届いたら確認してみますね。ありがとうございました。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今日は電子メール等での労働条件の明示を説明しました。ここでの電子メールには、以下のものが含まれるとされています。
パソコン・携帯電話端末によるEメール、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービス
+メッセージ等のRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)やSMS(ショート・メール・サービス)
LINEやFacebook等のSNSメッセージ機能
なお、のRCSやSMSについては、PDF等の添付ファイルを送付することができないこと、送信できる文字メッセージ数に制限等があり、また、前提である出力による書面作成が念頭に置かれていないサービスであるため、労働条件明示の手段としては例外的なものであり、原則として上記やによる送信の方法とすることが望ましいとされています。また、労働者が開設しているブログ、ホームページ等への書き込みや、SNSの労働者のマイページにコメントを書き込む行為等、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、第三者が特定個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものについては、「電子メール等」には含まれません。これらを踏まえた上で活用も考えて見ましょう。
参考リンク
厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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