新36協定届における特別条項関係の注意点を教えてください

 桜の花はすっかり散ってしまったものの、その後の新緑も美しいなと思いながら、大熊は服部印刷に向かった。
前回のブログ記事はこちら
2019年4月8日「労働時間上限規制後の新36協定届について、労働基準監督署はどのあたりをチェックするのですか?」
https://roumu.com/archives/65809282.html


大熊社労士:
 おはようございます。
宮田部長宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。今日は新36協定届の注意点に続きについてお話しいただけるのですね?
大熊社労士:
 はい。今日は「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」に関する事項について取り上げます。
福島さん:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 指針については、まずは以下の努力義務が果たされていない場合には、当該協定届を受理した上で、リーフレットの該当する欄にレ印を記入の上、これを交付することにより指導するとされています。
労働時間の延長及び休日の労働を必要最小限にとどめるべきであることや、特別条項の延長時間を限度時間に近づけるべきであることに留意せず、特別条項により、限度時間を超えて、1箇月についての延長時間及び休日労働時間、又は1年についての延長時間を協定している場合(指針第2条及び第5条第2項)
限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を2割5分と協定している場合(指針第5条第3項)
1箇月に満たない期間において労働する労働者について、1週、2週及び4週のそれぞれについての延長時間が指針別表に掲げる目安時間(1週15時間、2週27時間、4週43時間)を超えて協定されている場合(指針第6条)
全ての法定休日について労働させることができることとするなど、労働させることができる休日の日数について、できる限り少なくするように努めていない場合(指針第7条)
福島照美福島さん:
 36協定に関しては、従来、時間外労働や休日労働の枠を定めるものなので、枠は大きめに取っておいた方が無難だという考え方があったと思います。
大熊社労士:
 そうですね。ですからにあるように、法定休日労働について、実際に命じるかどうかは別として、月5回まで命じることができるような協定をしている例が見られます。こういった場合には指導を受けることになりそうです。
宮田部長:
 なるほど。当社の場合、について2割5分としていますので、指導される可能性がありますね。
大熊社労士:
 そうですね。そして今回の目玉である健康確保措置等については以下の注意が必要です。
健康福祉確保措置について、指針第8条各号に定めるもののうちから協定していない場合(指針第8条)
適用除外及び適用猶予に係る時間外・休日労働協定届について、1箇月及び1年のそれぞれについての延長時間が限度時間を超えて協定されている場合(指針第9条第2項)
適用除外に係る時間外・休日労働協定届について、限度時間を超えて労働時間を延長して労働させることができることとする場合において、当該時間を超えて労働させる労働者に対する健康福祉確保措置を定めていない場合又は当該措置を指針第8条各号に定める措置の中から協定していない場合(指針第9条第3項)
福島さん:
 健康確保措置については、今回の重要な改正点ですから、いろいろ指摘を受けることになるかも知れませんね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。指針に基づき、その内容を決定し、確実に運用することが求められます。さて、特別条項に関しては、以下のような事由を定めている場合には、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものと認められるとして、当該協定届を受理せず返戻し、新指導文書に必要事項を記入の上これを交付して再提出を指導することとされています。
業務の都合上必要な場合
業務上やむを得ない場合
業務繁忙なとき
使用者が必要と認めるとき
宮田部長:
 いろいろな取り決めがあるのですね。通達にはこのような細かいことが書かれているのですね。労働基準監督官もこのようなことを押さえながら指導をする訳ですから、大変ですね。
大熊社労士:
 そうかも知れませんね。新36協定届の適用は、御社では来年度からとなりますが、来年度の協定を締結する際には少し早めに準備し、確実な対応を行っていきましょう。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは 大熊です。先週と今週の2回に亘っては、今回の法改正に先駆け発出された通達「時間外・休日労働協定の適正化に係る指導について(基発0115第5号 平成31年1月15日)」の中から、36協定締結の注意点について取り上げました。36協定の重要性は増す一方ですので、確実な締結・届出、そして管理を行っていきましょう。


関連blog記事
2019年4月8日「労働時間上限規制後の新36協定届について、労働基準監督署はどのあたりをチェックするのですか?」
https://roumu.com/archives/65809282.html

参考リンク
厚生労働省「平成31年度地方労働行政運営方針の策定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04277.html

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu