新入社員の22.2%が3年内の退職を考えているようです

 本格的な夏の近づきを感じ、暑さが苦手な大熊は汗を拭きながら、服部印刷へと向かった。


大熊社労士:
 おはようございます!今日はまだ朝なのに既に暑いですね。
福島照美福島さん:
 おはようございます。本当に暑いですね。そう思って、冷房を思いっきり下げておきましたよ。本当はクールビズなので28度にしないといけないのですが。
大熊社労士:
 ありがとうございます。道理ですごく涼しいと思いました。少ししたら落ち着くと思いますので、あとで設定温度に戻しましょう。
服部社長:
 おはようございます。昔は30度でも暑いと思っていたのが、最近だと30度であればまだ快適などと感じるような気候ですからね。外出は大変です。さてさて、大熊さん。世間一般の話になりますが、最近の新卒は早期退職の傾向が強まっていますか?
大熊社労士:
 もしかして誰かから退職申し出がありましたか?
服部社長服部社長:
 いやいや、当社の新人たちは頑張ってくれていますが、昨夜の同業者の集まりで、今春入社の新卒がもう何人も退職したという話を聞きまして。
大熊社労士:
 そうでしたか。昔から七五三などと言われ、大卒でも3年以内に3割が退職すると言われています。昨年の調査でも以下のような結果が出ています。
大学 31.8%
短大など 41.5%
高校 39.3%
中学 64.1%
宮田部長宮田部長:
 七五三という話は聞いたことがありますが、3年以内に大卒の3割が退職してしまっているのかぁ。あれだけ手間とお金をかけたのに、会社としては悔やんでも悔やみきれない結果ですね。
大熊社労士:
 本当にそうですね。そして、この傾向は更に強まりそうなのです。
服部社長:
 そうなのですか。それは困りましたな。
大熊社労士:
 はい。先日、マイナビが「2019年新入社員1カ月後の意識調査」の結果を発表しました。この調査は、今春、新卒で入社をした男女800名(22歳~23歳)に、入社1か月後のタイミングで、会社に対してどのような意識を持っているか調査したものです。この中の、「あなたは、今の会社で何年くらい働くと思いますか?」という質問に対する回答は以下のようになっています。
3年以内 22.2%
4年~5年ぐらい 14.9%
6年~10年ぐらい 9.8%
10年以上 7.6%
定年まで 21.8%
わからない 23.9%
服部社長:
 なんと、入社1か月のタイミングで22.2%が3年以内に退職しようと考えているということですか。定年までが21.8%ですから、それよりも3年以内退職が上回っていますね。
宮田部長:
 確かに入社1か月のタイミングでこの状態だとすると、実際の3年後には更に多くの退職者が出ているような気がします。
大熊社労士:
 そうなのです。それでこの調査では、「今の会社でずっと(長く)働きたいと思わない理由」についても聞いているのですが、その結果が以下のとおりです。
ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(結婚・出産など) 44.4%
転職でキャリアアップしていきたいから 29.7%
色々な会社で経験を積んでいきたいから 28.9%
給料がいまいちだから 19.8%
仕事がハード/厳しそうだから 12.6%
仕事にやりがいがない/やりがいがなさそうだから 9.9%
ゆくゆくは起業・独立したいから 8.3%
なじめない/なじめなさそうだから 5.3%
ゆくゆくは家業を継ぎたいから 3.7%
その他 6.1%
福島さん:
 「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから」が半数近いというのはいまの時代を感じますね。
服部社長:
 確かにそうだな。その次に来ている「転職でキャリアアップしていきたいから」と「色々な会社で経験を積んでいきたいから」はほぼ同じ内容だと思うが、ここまでの上位3つはすべて会社に対する不満ではなく、ワークライフバランスやキャリアアップという理由なので、なかなか対策が難しいようにも感じます。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。確かに「給料がいまいちだから」や「仕事にやりがいがない」という理由であれば、今後、仕事に慣れてきて、成長すればある程度解決することもできるのでしょうが、上位3つは別の仕掛けが必要なのだと思います。
服部社長:
 例えば、ライフステージに合わせた柔軟な働き方の実現だとか、成長を実感できる職務設計といった感じになるのでしょうか。
大熊社労士:
 そうですね。とは言え、中小企業ではどうしてもリソースが限られますので、いろいろ知恵を出さないと実現は難しいのだと思います。しかし、今後も特に若手の人材の確保は難しくなる一方ですので、効果的な採用・定着・育成ができる環境の創造は重要な経営課題として認識しておく必要があるでしょう。
服部社長:
 同感です
。当社がお客様に対してしっかりとしたサービスを提供し、存続していくためには、若手も含めたすべての社員がこの会社で頑張りたいと思えるような環境を作っていく必要がありますし、その責任は私にあると思います。宮田部長、福島さん、今後も安心して頑張ることができる環境づくりをしっかり進めていこう。
宮田部長:
 はい!
福島さん:
 はい、分かりました!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今日はマイナビの調査から、今春の大卒新入社員の転職意識について見てみました。予想以上に、キャリアアップ等を意識した転職意向が強く、企業の人事としては頭が痛いところではないかと思います。ちなみに「もしも、もう一度、就活時代に戻れるならば、就活をやり直したいと思いますか?」という設問については、約53%が就活をやり直したいと思っているという回答が出ています。内定者を対象とした最近の各種調査では就活に対する満足度は上昇傾向にありますので、入社後の1か月で様々な現実にぶつかり、早くも転職を意識してしまっているという状況が見られます。新入社員の早期離職を意識した取り組みの重要性がこれまで以上に求められていると考えるべきでしょう。


関連blog記事
2018年11月12日「大卒新入社員の31.8%が3年以内に離職
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52161437.html

参考リンク
マイナビ転職「2019年新入社員1カ月後の意識調査」
https://www.mynavi.jp/news/2019/06/post_20507.html
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00001.html

(大津章敬)

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