議論が開始された中小企業の短時間労働者への社会保険の適用拡大

 先週メディアでも大きな話題となった将来の公的年金の財政見通し(財政検証)ですが、これに関連し厚生労働省では2019年9月2日に「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」が開催されました。
 この検討会では、短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、働き方の多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題を検討事項とし、2019年9月末までに検討を行うこととされています。第7回の検討会では、これまでの議論の整理として、短時間労働者に対するこれまでの適用拡大の結果及び影響の検証と今後の検討の方向性をまとめた資料が公開されています。
 その資料に記載されている今後の検討の方向性では、社会保険の適用拡大の基本的な考え方として、以下のように示されています。
・被用者として働く者については被用者保険に加入する
・具体的な適用拡大の進め方については、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧な検討を行う必要性(がある)

 この他にも現在、大企業が適用となっている短時間労働者の社会保険の各要件について今後の検討の方向性が示されています。
 また、副業・兼業の課題に関連し、複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方が議論され、個人事業主の増加に関連し、雇用類似の働き方への対応についても議論が行われています。
 まだ検討会の段階ではあるものの、中小企業の短時間労働者への社会保険の適用が拡大することで、企業が負担する社会保険料は大きくなり、また、社会保険に適用しない範囲での労働時間等に調整するパートタイマー等が発生することで、人手不足の問題にもつながることになります。今後の動向も注視していきましょう。


 

参考リンク
厚生労働省「第7回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208525_00013.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/