雇用と賃金の満足度に関する指標の上位は「給与」「労働環境」「やりがい」

 先日、内閣府は「満足度・生活の質に関する調査」を行い、その結果から「満足度・生活の質に関する指標群(ダッシュボード)」を公表しました。そのポイントは以下のようになっています。
■目的
 我が国の経済社会の構造を人々の満足度の観点から多面的に把握し、政策運営に活かしていくこと
■調査方法
 日本国内に住む15歳~89歳のインターネットパネル登録モニターを対象として行われ、約1万件の回収を得たもの

 そのなかで、人事労務に関連する指標群を見てみると、以下のとおりです。
雇用と賃金
【生活満足度】
 仕事に就き、そこから報酬を得ることは、個人の幸福にとって不可欠である。良い仕事は、自由になる金銭を増やすだけではない。願望を実現させたり、 自尊心を培ったりする機会をもたらす。仕事は個人のアイデンティティを 形成し、社会的関係を結ぶ場ともなる。一方、失業状態は、心身の健康にも 主観的な満足度にも、大きな負の影響を及ぼす。このことは、失業が満足度 に与える負の影響は所得の損失をはるかに超えることも示唆している。
【指標の内容】現在の満足や不満に大きく影響しているもの
 1位:給与の額(50.8%)
 2位:労働環境(職場の人間関係、危険度など)(25.4%)
 3位:仕事のやりがい(25.4%)

仕事と生活(ワークライフバランス)
【生活満足度】
 仕事、家族との時間、そして個人としての時間を両立させること、ワークライフ バランスを実現することは、世帯の構成員のだれにとっても幸福の要件である。仕事の時間の割合が小さすぎると、望ましい生活水準に達するのに十分な所得を得ることができず、また、生き甲斐に欠けることにもなりかねない。一方、仕事時間の割合が大きすぎると、そのために健康や個人の生活が損なわれるようなことになれば、幸福に悪影響を及ぼすことも考えられる。
【指標の内容】現在の満足や不満に大きく影響しているもの
 1位:自分で自由に使える時間(48.2%)
 2位:労働時間(38.1%)
 3位:睡眠・食事・入浴等の時間(32.4%)

 このように、人々の満足度は、給与額や労働時間など、実際の労働条件だけでなく、働く環境や仕事のやりがい、仕事以外の時間の充実も影響しているということがわかります。今後、人事制度や賃金制度をはじめとした労働条件や社内制度の見直しを検討する際には、こうした面も重視していくことが、働く人々の満足度をあげるために求められています


参考リンク
内閣府「満足度・生活の質を表す指標群(ダッシュボード)」
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/index.html

(佐藤浩子)