AI等の普及により求められる働き方の変化~労働政策審議会労働政策基本部会報告より~

 先日、厚生労働省の労働政策審議会労働政策基本部会より、「働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために」という報告書が公開されました。
 この報告書では、労働政策基本部会でAI等の技術革新の動向と労働への影響について、実際にAI等の現場への導入や運用に携わる関係者等のヒアリングを交えながら議論を深めてきた成果について取りまとめられたものです。今後のAI等の普及により求められる働き方の変化や、働く現場でAI等が適切に活用されるための課題等の項目がありますが、AI等の普及により求められる働き方の変化として、「AI等との協働に必要なスキル」では、「日本ではAI等が導入された際の業務への影響を軽微と考えている傾向も指摘され、AI等による仕事の変化に対し、必要なスキルを意識しつつ備えることが重要。」として以下のような内容が整理されています。

・まずは、基本的なITリテラシーの習得や保有する情報の電子化といった情報の整理等が必要。更にAI等を活用しようとする職場では、AI等を業務に組み込むためのより高度なスキル等が必要。このようなスキルは、AI等の浸透に伴い、より多くの労働者に習得が求められる。
・ものづくり分野や医療分野等の様々な分野におけるイノベーションの創出に向け、最先端のAI等の開発を担う人材やAI等を産業に応用する人材の育成や確保、そうした人材が活躍できる環境の整備も必要。
AI等が進展しても、課題設定、双方向のインタラクティブな対応、新しい発想、最終的な価値判断など、人間らしい又は人間にしかできない業務は残る。こうした業務に求められるスキルを高めることで、より付加価値の高い製品・サービスを提供し、経済成長の源泉としていくことが期待できる。

 このような内容を目にすると、以前の大量にものを作れば売れるという時代がはるか昔のことと感じられ、多くの労働者は社会環境の変化に適合し、スキルアップを目指すことが求められていると感じられます。AIの活用が一般化する時代において労使が重要だと考えるスキルにはギャップがあり、時代の変化に取り残されないようにするためには、労働者の意識変革が重要な時代になりそうです。


参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会労働政策基本部会報告書~働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06697.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/