消費税増税に伴って通勤手当の支給額見直しは必要でしょうか?

 9月に入り、まだまだ昼の日差しは強いものの、朝晩はいくらか涼しくなり、秋の雰囲気を感じるようになってきた。


大熊社労士:
 おはようございます。今日も雨になってしまいましたね。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。最近は各地で記録的な豪雨で、浸水被害なども増えていて、日本の気候も変わって来たなぁと感じます。台風も多いですしね。
大熊社労士:
 本当にそうですね。さて、今日はなにかありましたでしょうか?
福島さん:
 はい、通勤手当の件で相談させてください。
大熊社労士:
 通勤手当ですか。なにかありましたか?
福島さん:
 来月から消費税が10%に引き上げられますが、これに伴って通勤手当の見直しも必要なのか迷ってしまいまして。
大熊社労士:
 なるほど、ちょうど先週、全国の鉄道54社とバス事業者209社に対して国交省が値上げの認可を出したというニュースが報道されていましたね。社員さんからの問い合わせがあったのですか?
福島さん:
 はい、そうなのです。もしかするとそのニュースを見ていたのかも知れませんね。
大熊社労士大熊社労士:
 なるほど、分かりました。それでは、現在の賃金規程の内容を確認してみましょうか。さてさて、通勤手当、通勤手当っと…。ありました。このような規定になっていますね。
「通勤手当は、居住地から勤務地までの通勤交通費の実費の補助として以下のとおり支給する。
(1)公共交通機関利用者
 1か月分の通勤定期代相当額を支給する。
(2)マイカー利用者
 通勤距離に応じた非課税限度額相当額を支給する。」
宮田部長:
 公共交通機関の場合には通勤定期代相当額を支給するとされていますね。ということはやはり新しい定期代に見直してあげないといけないですかね?
大熊社労士:
 この規定ですとそのようになりますね。これに対してマイカー利用者については、非課税限度額相当額ですから、例えば2km以上10km未満以下であれば、4,200円を支給するということですよね?であるとすれば、規定上は見直しの必要はないでしょう。消費税以前の問題として、ガソリン価格自体が変動したとしても、常に一定の金額を支給している訳ですので。
福島照美福島さん:
 やっぱりそうですよね。やはり定期代は見直す必要がありますよね。その実務に関してなのですが、他社ではこういった場合、会社側で値上げ後の定期代をすべて調べて支給額の見直しを行っているものなのでしょうか?
大熊社労士:
 いや、それはまちまちですね。社員数が少ない会社であればそれもできると思いますが、社員数が多い場合には現実的には難しいので、社員から改めて新しい定期券代を申告させることが多いのではないかと思います。
福島さん:
 そうなんですね。宮田部長、当社の場合はどうしましょうか?
宮田部長:
 そうだなぁ。なんでも会社が直してくれると思われても今後支障が出そうなので、社員から申請してもらおうか。それではそのアナウンスの文章を作成してもらえるかな?
福島さん:
 分かりました!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。いよいよ消費税増税が間近となってきました。経理部門などではその対策も進めていると思いますが、給与計算においても通勤手当の見直しを行う必要がある場面が多いのではないでしょうか。値上げに関する国土交通省の認可も行われましたので、来月に向け、準備を開始しましょう。


参考リンク
朝日新聞「鉄道とバスの運賃値上げへ、国交省が認可 消費増税で」
https://www.asahi.com/articles/ASM954RNYM95ULFA012.html
国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm

(大津章敬)