厚労省から示された研修・教育訓練等を始めとした労働時間の考え方

 働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が行われ、いよいよ2020年4月からは中小企業への適用も始まります。この上限規制に適切に運用するためには、労働時間の管理が基本となりますが、研修や教育訓練等を中心に、どこまでが労働時間として該当するのかの判断は迷いが生じやすいものです。

 厚生労働省は今回「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」という、労働時間に該当するか否かについて、労働基準監督署への問合せが多い、実際の相談事例をもとに解説したリーフレットを公開しました。このリーフレットでは以下のような内容が示されています。

【研修・教育訓練の取扱い】
・研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のもので
あれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しません。
※研修・教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されている場合には、研修・教育訓練であっても労働時間に該当します。

【仮眠・待機時間の取扱い】
・仮眠室などにおける仮眠の時間について、電話等に対応する必要はなく、実際
に業務を行うこともないような場合には、労働時間に該当しません。

【労働時間の前後の時間の取扱い】
・更衣時間について、制服や作業着の着用が任意であったり、自宅からの着用を認めているような場合には、労働時間に該当しません。
・交通混雑の回避や会社の専用駐車場の駐車スペースの確保等の理由で労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着し、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合には、労働時間に該当しません。

【直行直帰・出張に伴う移動時間の取扱い】
・直行直帰・出張に伴う移動時間について、移動中に業務の指示を受けず、業務に従事することもなく、移動手段の指示も受けず、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。
 リーフレットでは以上の基本的な内容のほか、「労働時間に該当しない事例」、「労働時間に該当する事例」も掲載されています。自社の労働時間の取扱いと比較し、確認してみましょう。


関連blog記事
2019年10月17日「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」
https://roumu.com/archives/99022.html

参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/