育休復職後の職場・職種 「本人の希望を考慮し、会社が決定する」という回答が増加

 2019年10月18日のブログ記事「男性の育児休業取得率は過去最高の6.16% 取得期間も若干の長期化へ」では、男性の育児休業の取得状況について取り上げましたが、今回は育児休業復職後の職場・職種の取扱い対応の傾向に注目したいと思います。

[1]取扱いの原則
 育児・介護休業法では、育児休業をする労働者については、休業後においては原則として原職または現職相当職に復帰させるように配慮するよう指針に示されています。「原職相当職」の範囲は、一般的に以下のいずれにも該当する場合は「原職相当職」と評価されます。(育児・介護休業法22条)
(1)休業後の職制上の地位が休業前より下回っていないこと
(2)休業前と休業後とで職務内容が異なっていないこと
(3)休業前と休業後とで勤務する事業所が同一であること

[2]実際の取扱いの傾向
 復職後の職場・職種の取扱いについては「原則として原職又は原職相当職に復帰する」が67.6%(2015年度72.8%)ともっとも高くなっており、「本人の希望を考慮し、会社が決定する」が24.0%(同21.2%)、「会社の人事管理等の都合により決定する」が3.1%(同5.9%)となりました。

 2012年度および2015年度に行われた同調査の結果と比較してみると、今回の調査でも例年通り「原則として原職又は原職相当職に復帰する」が最多となりましたが、回答率は漸減傾向にあり、代わって「本人の希望を考慮し、会社が決定する」と答えた事業所の割合が年々上昇しています。原則を踏まえた上で、より柔軟な対応が取られるケースが増えてきているようです。

 企業にとって人材確保の厳しさが増す中で、多様な働き方を認め従業員の活躍の機会を創出していくことも人的資源管理上の重要な課題となります。復帰後の取扱いは指針に沿った取扱いが原則となりますが、従業員の希望をもとに労使間で調整を行うことは実態に応じた適切な対応と考えられます。ただし、当然ながら従業員からの要求であれば何でも聞き入れなければならないということではありません。あくまで経営ニーズとのバランスを取りながら復職後の職場・職種を考えていくことが望ましいでしょう。


関連ブログ記事
2019年10月18日「男性の育児休業取得率は過去最高の6.16% 取得期間も若干の長期化へ」
https://roumu.com/?p=99055

参考リンク
厚生労働省「平成30年度雇用均等調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-30r.html

(菊地利永子)