製造業の人手不足が大幅に改善 業種による差が拡大

 リーマンショック以降、人手不足が進行してきましたが、ここに来て、転換期を迎えつつあるように感じられます。そこで本日は、帝国データバンクが先日公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」より、現在の人手不足の状況を見てみたいと思います。なお、この調査の実施期間は2019年10月17日~31日で、調査対象は全国23,731社で、有効回答企業数は10,113社(回答率42.6%)となっています。
(1)正社員の過不足状況
不足 50.1%(1年前比▲2.4ポイント)
適正 41.1%(1年前比+1.0ポイント)
過剰 8.8%(1年前比+1.4ポイント)
(2)非正社員の過不足状況
不足 29.3%(1年前比▲4.8ポイント)
適正 62.6%(1年前比+2.9ポイント)
過剰 8.1%(1年前比+1.9ポイント)

 このように全体としては不足が改善している状況となっていますが、業種別では大きな差があります。まず「製造」では、正社員の不足割合は1年前から▲9.1ポイントの39.3%、非正社員では同▲11.5ポイントの22.8%となり、人手不足割合は大きく減少しています。これに対し、「非製造」では、正社員が同0.2ポイントプラスの54.3%、非正社員では同▲1.9ポイントの32.2%と横ばいの状況となっています。

 全体としては、「サービス」「小売」「運輸・倉庫」などを中心に非製造業では依然、人手不足が続いているものの、製造業ではその状況は改善傾向が見られます。有効求人倍率も低下を始めており、今後は採用環境が好転することに対する期待と景気後退に関する懸念が同時に発生する時期に突入していくのでしょう。


参考リンク
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p191105.html

(大津章敬)