残業代の支払はは1分単位で行わなければならないのでしょうか?30分単位に端数処理をしてもよいでしょうか?

A 日々の労働時間の集計は1分単位で行わなければならない。一方、1カ月の時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の時間数を合計し、端数を処理することは行政通達上認められている。

1.毎日1分単位で計算しなければいけない理由
 労働基準法第24条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されています。労働時間の端数処理については、後述する通達の内容しか認められておらず、日々、30分未満の端数を切り捨てていた場合、この労働基準法第24条の「全額支払の原則」に反することとなり、違法となります。

2.1カ月の時間外労働・休日労働・深夜労働の端数処理
 原理原則は毎日1分単位で計算をし、1分単位で割増賃金等を支払うことが求められています。しかし、これでは給与計算などの事務作業が煩雑になる可能性もあるため、1カ月分合計した後に端数処理を行うことについては、行政通達上で認められています(昭和63年3月14日基発150号)。

 ただし、通達上で認められているのは「1カ月あたりの時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計を1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切りあげること」に限られます。この内容より有利になる場合は問題ありませんが、不利になる場合、例えば44分の残業があった場合に30分にする、といったことについては認められていませんので、注意が必要です。

(杉山さやか)