Q 求人募集の広告と採用後の労働条件が異なっても問題ないか?

A 求人募集時に示した労働条件が変更される場合は、変更した内容について、採用時に改めて明示しなければならない。

1.労働条件の明示義務
 求人票や求人媒体を使って募集を行う場合には、職業安定法第5条の3により、労働契約締結前の段階であっても採用時の労働条件を明示することとされています。しかしながら、求人募集時に示された労働条件と採用後の実際の労働条件が異なるという労使トラブルが以前より多く発生していました。そこで、2018年1月に職業安定法が改正され、求人募集時に明示した労働条件に変更があった場合には、可能な限り速やかに変更した箇所を示して労働条件を明示しなければならないこととなりました。

 求人募集の際に、最低限明示しなければならない労働条件は、当初次の事項とされていました。
(1)業務内容
(2)契約期間の有無と期間
(3)就業場所
(4)労働時間、休憩時間、休日、時間外労働
(5)賃金
(6)社会保険・労働保険の加入状況

 2018年の改正の際に、この明示すべき労働条件についても見直しが行われており、(1)~(6)に追加して(7)~(11)の事項について明示することとされています。
 
(7)試用期間の有無と期間
(8)裁量労働制を採用する場合はその旨
(9)固定残業制を採用している場合は、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業の時間数と固定残業代の金額、固定残業時間を超えた分について割増賃金を支給する旨
(10)派遣労働者として雇用する場合はその旨
(11)募集者の氏名または名称

 さらに、2020年4月から、職業安定所の求人票には「就業場所における受動喫煙防止のための取組み」についても明示が求められています。

 なお、これらの「労働条件の明示や労働条件変更の明示義務」に違反した場合は、指導・助言や改善命令、さらには企業名の公表などの罰則を課されることがあります。また、虚偽の条件を提示して求人の申込みを行った場合には「6月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」という罰則が適用となる場合があります。

2.労働者を募集する場合に求められる配慮
 労働者の募集や求人申込みの際には、労働条件についてできるだけ具体的に明示することとされていますが、募集や申込み時点では配属や賃金などまだ決定しいていない事項については、例えば、基本給25万円~30万円といった具合に水準や範囲等を可能な限り限定しておく、明示する労働条件が変更される可能性があることを明示しておくなどの方法も可能とされています。ただし、この場合、労働条件の確定あるいは労働条件の変更したら、可能な限り速やかに知らせるなどの配慮が必要となります。

 このような点から、労使でミスマッチを防止するため以下のような対応が求められます。
・年齢、経験や実績を踏まえて労働条件を決定する場合は、求人票に断定的な労働条件は記載せず、面談後に決定する旨を記載する。
・求人票に記載した労働条件の変更を行う場合は応募者に早めに伝える、労働条件の変更を行う場合には変更前と後の労働条件を対照できる説明文書を交付する。
・入社前に労働条件に関して疑問点の有無を確認する機会を用意する。

 無用なトラブルを防止するため、こういった基本を押さえた実務を行っていきましょう。

(日比野志穂)