第1子の育児休業期間中に第2子を妊娠した場合、産前産後休業と育児休業のどちらが優先されるでしょうか?

A 産前産後休業が優先されます。育児休業終了予定日とされた日までに、育児休業の申し出をした労働者について、産前もしくは産後休業する期間が始まった場合は、その前日に育児休業期間が終了すると定められています。(育児介護休業法第9条2項)

1.産前休業と産後休業
 産前産後休業は、出産予定の労働者が出産予定日の6週間前から事業主に請求することによって発生する産前休業と、出産の翌日から8週間の産後休業のことをいいます(労働基準法65条1項、2項)。このうち産前休業は、労働者の請求によるものであり、必ず産前休業を取得しなければならないものではありません。一方、産後休業は労働者の請求の有無に関わらず、当該労働者の就業を禁止する強制的な休業です。したがって、第2子の妊娠出産に関し、労働者から事業主へ産前休業の申請がなかった場合、産後休業が開始される前日(出産日)に、第1子の育児休業は終了します。

2.社会保険料の免除
 出産する予定の労働者が事業主に休業を請求した場合、産前産後休期間中の社会保険料は、事業主が日本年金機構または健康保険組合へ「産前産後休業取得者申出書」を申請することで免除されます。なお、第2子の産前産後休業期間中に「産前産後休業取得者申出書」を提出した場合、第1子の育児休業について終了届を提出する必要はありませんが、産後休業が終了後、新たに第2子の育児休業を開始する場合は、改めて「育児休業取得者申出書」の提出が必要です。

3.出産手当金
 社会保険の被保険者である労働者が出産のため労務に就いておらず、その間に給与の支払いがなかった場合、産前42日、産後56日間の範囲内で出産手当金が支給されます。したがって、出産前の休業が、第1子に係る育児休業であるか、第2子の産前休業であるかを問わず、出産手当金の支給要件を満たしていれば、労働者の申請に基づき、出産手当金が支給されることになっています。

(岡田千佳)