高額療養費の給付額はどのように計算されるのでしょうか?

A 高額療養費の給付額は被保険者の収入や、実際に支払った医療費等をもとに計算されます。

1.高額療養費とは
 健康保険による給付であり、入院や手術により、1か月(月の初日から末日まで)に支払った医療費が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。通常、健康保険が適用される治療等を受けた場合には、会計時に自己負担分3割の医療費を支払いますが、この3割分が自己負担限度額を超えている場合には、後日申請を行うことで自己負担限度額との差額が高額療養費として還付されます。

2.自己負担限度額とは
 被保険者の収入や年齢などの実態に応じて計算式が定められていますが、70歳未満の被保険者であり、かつ、直近12ヶ月の間に高額療養費の適用を受けた月がない一般的なケースの場合、標準報酬月額に応じて、次の5つの計算式のいずれかが適用されます。
標準報酬月額の区分ごとの計算式
ア標準報酬月額83万円以上 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
イ標準報酬月額53万円~79万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
ウ標準報酬月額28万円~50万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
エ標準報酬月額26万円以下 57,600円
オ住民税非課税者 35,400円

 この計算式でいう「医療費」とは、実際に支払った自己負担分ではなく、健康保険での負担分も含めた10割の金額のことを表します。例えば、病院で自己負担3割分として9万円を支払った場合、医療費は30万円となります。

 標準報酬月額36万円の被保険者が自己負担分として240,000円(=医療費800,000円)を支払った場合を例にとって、自己負担限度額と高額療養費給付額を計算すると以下のとおりです。
自己負担限度額:ウの計算式を適用 80,100円+(800,000円-267,000円)×1%=85,430円
高額療養費給付額:240,000円-85,430円=154,570円

 なお、入院等の予定があり、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には「限度額適用認定証」を発行することで、病院窓口で立替払いをすることなく、自己負担限度額までの支払いに抑えることができます。そのような場合は「限度額適用認定証」の活用をされるとよいでしょう。

(伊藤杏奈)