賃金の締切日や支払日を変更することは可能でしょうか?

A 賃金の締切日や支払日を変更することは可能です。ただし、就業規則の変更を行い、労働基準法第24条に定める賃金支払いの5原則に反しないようにしなければなりません。

1.賃金支払の5原則
 労働基準法第24条第1項で、賃金は(1)通貨で、(2)直接労働者に、その(3)全額を支払わなければならない。また第2項で、賃金は(4)毎月一回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと定められています。これを「賃金支払いの5原則」といいます。

2.就業規則の変更
 賃金締切日および支払日は、就業規則の絶対的必要記載事項であるため、変更を行った場合は就業規則の規定も変更することが必要です。

3.労働者への配慮
 例えば、給与の賃金の締切日が20日、当月末日払いであったものを、支払日は変更せず、賃金の締切日のみ10日に変更するとします。賃金の締切日が変更された月に労働者が受け取る給与は、給与計算対象期間が短くなることで、通常の30日分ではなく20日分の支払いとなります。こうした場合、会社は労働者に過度な負担や生活への支障が生じないように配慮すべきでしょう。解決策としては、(1)変更するまでの予告期間を十分に設け、貯金などの備えをしてもらう、(2)変更月を賞与支給月に合わせることで変更月の支給額減少の影響が生じないようにする、(3)場合によっては、短期の貸し付けを行うことなどが考えられます。

 給与は社員の生活を直接支えるものであり、その取り扱いの変更には慎重さが求められます。安心して働くことができる環境の維持のためにも、一定の配慮を行いながら、給与計算実務の効率化を進めていきましょう。

(関野真美)