社員に海外出張させる場合の労災適用

 先日、海外派遣者用の特別加入制度をこのブログで取り上げたところ、「この手続はかなり手間がかかるのだけど、短期の海外出張者に関しても同じ手続を行なう必要があるのですか?」という質問をいただきました。そこで今回は社員が短期の海外出張をする際の労災保険についてを取り上げることにしましょう。



[質問]
 前回の相談の続きになるのですが、今回、別の社員が市場調査と事務所の視察のために海外出張することになりました。期間は1週間の予定ですが、今回も特別加入の手続をする必要がありますか?
[回答]
 今回のケースでは、労災の特別加入を行なう必要はないでしょう。海外派遣者の特別加入では、「海外派遣」と「海外出張」が区分されています。定義は以下のようになっていますが、どちらに当たるかは勤務の実態によって総合的に判断されます。
海外派遣
 海外の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務する
海外出張
 国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務する


 今回は、目的が市場調査と事務所の視察とされており、原則として、特別加入を行なわなくとも国内で出張を行なった場合と同様の労災が適用できると考えられます。



関連blog記事
2007年07月06日「社員を海外に派遣する際の労災保険特別加入制度」
https://roumu.com
/archives/51010500.html


参考リンク
厚生労働省「特別加入制度のしおり(海外派遣者用)」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-7.html
神奈川労働局「労災保険 特別加入制度について(海外派遣者)」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kikaku/tkkany03.htm


(宮武貴美)


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